「大恐慌の前夜に酷似してきた」という声も…。トランプ大統領の"最終シナリオ"
●紛争地域への圧力
ロシアとウクライナの紛争に対して、自分だけが解決できるような態度を保持しつつ、結局はプーチンの言いなりになっているのが現状。小国同士の戦いには強い姿勢を取れるが、相手がロシアのような大国に対しては、腰が引ける。
●財政改革(DOGE=政府効率化省)
第2次政権が発足して以降、イーロン・マスクが先頭に立って行った政府機関の改革は、空前絶後、そのやり方に批判が集中している。とりわけ、DOGEメンバーが官庁に直接乗り込んで、ビルごと乗っ取ってしまうような政府機関の閉鎖は、大きな社会問題となっている。たとえば、NHKスペシャル「イーロン・マスク “アメリカ改革”の深層」(2025年8月10日放送)では、ある特定の政府機関に突然押し入って、スタッフを追い出して閉鎖してしまうプロセスが紹介された。トランプ政権の強引ぶりと法を無視した姿勢は前代未聞と言える。
●金融システムへの挑発
FRBのパウエル議長に対して、FRBの改装工事に関して訴訟を起こすと脅すなど、再三にわたって利下げを要求し、その独立性を脅かしている。さらに、雇用統計で悪い数字が出れば、労働統計局(BLS)のコミッショナーを更迭。金融システムの根幹を揺るがす攻撃は、金融市場そのものへの攻撃であり、株価暴落、債券暴落(金利上昇)、為替の過度な変動をもたらす可能性を高める。
ディールと称する改革の問題点
●大学改革
ハーバード大学に対する圧力は、今や全国の大学にも及び、反ユダヤ主義のデモなどを安易に許す大学に対しては、補助金をカットするなど全面的な圧力を続けている。ハーバード大学は5億ドル(730億円)の和解金を支払うことで、この事態の収拾を図ることを検討しているという報道もある。アメリカが最も強みとしている科学技術の発展を大きく阻害するものだ。
●メディアへの圧力
幼児性愛の疑いで逮捕され、獄中自殺した「エプスタイン」とトランプの親密な関係を報道したウォール・ストリート・ジャーナルが、名誉棄損で100億ドル(約1兆4700億円)と言う損害賠償請求の訴訟を起こされるなど、相変わらずトランプ政権のメディアに対する圧力は高まる一方だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら