路線拡張、大型再開発、安全性、アクティビスト…鉄道業界が迎えた「未曽有の変革期」
取り巻く経営環境が大きく変わり、従来のビジネスモデルは通用しなくなったというわけだ。小田急電鉄の鈴木滋社長は語る。「かつては鉄道などの交通事業を核とし輸送力を増強するというモデルで成長してきた。しかし人口減少が進む今では、各社がそれぞれの強みに合わせてビジネスモデルを多様化させていく時代になった」。
各社は、新たな収益源を求めて新領域の開拓に力を注ぐ。JR東日本は会社発足以来の組織改革を断行し、生活関連分野の事業拡大を目指す。JR西日本はリアル事業とデジタル領域の連携を掲げ、新しいスマホ決済サービスに乗り出した。
鉄道需要の掘り起こしを模索する動きもある。JR東海は大事業であるリニア中央新幹線の建設工事に邁進中だ。

大型再開発や路線拡張を急ぐ
各社の連携や競争も深化しつつある。西武とJR東日本は観光客を呼び込むため、28年度をメドに直通運転を開始。小田急と西武は観光事業の強化をもくろみ、日本有数の観光地である箱根で観光客誘致の競争を繰り広げる。
渋谷や新宿、池袋といったターミナル駅では大規模再開発が進行中だ。ただし課題が山積する。駅前再開発では工事が遅延する異常事態が起きている。
鉄道会社には交通インフラを担う公共性、とくに安全性の確保が求められる。他方、民間企業として持続的な成長を目指す事業性も追求しなければならない。さらに昨今は、資本の効率性も要求されるようになった。
経営のバランスをどのように取っていくかが大きな課題といえる。本特集では各社の新しい挑戦と課題を深掘りしていく。
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