まだロッテのお家騒動は終わっていなかった 長男が父親を担ぎ出し、戦いは第2ラウンドへ

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会見後の10月14日、宏之氏はさっそく弟・昭夫氏の経営権に圧力を加えた。彼は東京にあるロッテホールディングスの持ち株会社「光潤社」の顧問弁護士事務所で光潤社の株主総会と取締役会を相次いで開催し、昭夫氏を取締役から解任すると同時に、武雄氏が保有する光潤社の株式1株を新たに買い入れ、過半数を超える最大株主の地位を確保して自身を代表取締役に選任した。

宏之氏は「光潤社が所有するロッテホールディングスの28.1%株式に対する確実な支配力を確保し、個人的にも1.62%の株式を保有している。ロッテホールディングスの最大株主であり、ロッテグループの多くの問題点を改革していく」と述べた。

この宏之氏の攻勢にロッテグループは淡々と対応している。記者会見直後、ロッテグループはリリースを出し、「(宏之氏の)訴訟はすでに予見されていたものであり、昭夫会長の日韓ロッテグループ経営権に関することは、商法上の手続きによって適法に決定された事案。訴訟されても大きな影響はない」と反論した。

また、ロッテ側は「宏之氏が高齢の総括会長(武雄氏)を自分たちの主張の手段として繰り返し活用している。これはロッテの企業改善活動にまったく役に立たず、かえって企業価値を毀損している。こうした行為は大変、遺憾に思う」と述べた。

弟の昭夫氏は経営権の防衛に自信

取締役解任が発表された後にも、ロッテ側は「昭夫会長の光潤社取締役解任はロッテグループの経営にまったく影響を与えない。光潤社は株式の一部を保有した家族会社に過ぎず、グループの経営権に影響を与えることはない」との立場を明らかにした。昭夫氏もまた10月12日、仁川国際空港ロッテ免税店第2統合物流センターでのイベントで「揺らぐことなく、経営に集中していく」と述べるなど、経営権防衛に自信を見せている。

いずれにしろ、長男の宏之氏は韓国に自ら法人を設立し、弁護士や財界人などを迎え入れて諮問団まで編成、権力争いに背水の陣を敷いた様子だ。しかし、訴訟で勝利すること、そして日本ロッテの経営権を引き継ぐことは簡単ではなさそうだ。訴訟では、何よりも解任手続きが誤っていたという事実を立証しなければならないが、手続き上の誤りはない。たとえ解任無効の判決が出たとしても、実質的な支配力を持った昭夫氏が再び適法な手続きに従って解任してしまえば、それで終わり。宏之氏にとって厳しい、というのが法曹界の一般的な観測だ。

経営権の奪還についても同様だ。光潤社がロッテホールディングスの最大株主であっても、今年8月の株主総会では、従業員持ち株会(27.8%)、関係会社5社(20.1%)、役員持ち株会(6%)などが昭夫氏を支持したとされている。光潤社だけではロッテホールディングスを動かせないのだ。

宏之氏はひとまず、このうちの従業員持株会をターゲットに攻略する計画のようだ。従業員持ち株会はロッテホールディングスの2大株主。もしここが宏之氏側になびけば、彼は過半数を超える57%の株式を確保することになる。株主総会を開いて昭夫氏の解任動議を出せる。

しかし、すでに「宏之氏支持」を宣言した従業員持ち株会が、方向を変える可能性は高くないように思える。ある財界関係者は「もし宏之氏が経営権を引き継いだ場合、8月に彼を支持した従業員持ち株会関係者を大挙して排除しようとするのは明らか。それをわかっている彼らが、自らそんな選択をする可能性は低い」と打ち明ける。ロッテグループもまた、昭夫氏に対する従業員持ち株会の支持は固いとみている。

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