子どもに理不尽強いる「ブラック部活」の実情

丸刈りや白飯2杯ノルマも当たり前

女性は当該の教育委員会に惨状をメールで事細かに伝えたものの、ナシのつぶて。そのうち、息子から、「先生(顧問)に意見するのはもうやめて。俺が試合に出られなくなる」と涙ながらに訴えられた。ケガをしても、「練習に出ないと試合に出られない。みんなそうしてる」と言って休まない。顧問との話し合いを勧めても、「意見なんて言えない。逆らえば怒鳴られる」とうつむいた。この女性は言う。

「親はわが子を人質に取られているのと同じ。私たちが払った部費会計にバリカン代があったのにはあきれました」

大柄だと熱中症リスク

部活事情やスポーツ事故に詳しい名古屋大学大学院教育発達科学研究科准教授の内田良さんは、こう警鐘を鳴らす。

「自らの経験則だけで指導してしまう顧問が実に多いと感じている。医学的、生理学的な正しい知識を理解していないので非常に危険」

たとえば熱中症もそうだ。今年、神奈川・桐蔭学園高校の柔道部員(16)が、熱中症で搬送された2日後に死亡した。

内田さんが、1994~2013年度の中高の主要な部活(04年度時点で部員が3万人以上)における熱中症の死亡率を調べたところ、柔道は100万人中4人と最も高かった。先のW杯で日本代表が活躍したラグビーは、部員数が少なく「主要部活」に入らないものの、8.3人と柔道以上のリスクを示した。

「柔道とラグビーは体重の重い、大柄な選手が多いという共通点がある。体が大きいと、軽い運動でもエネルギー消費量が上がり熱を発生しやすい。それなのに体内の脂肪が熱の拡散を妨げるため、重篤な熱中症になりやすい。以前から体の大きい子への注意を促されていたのに周知されていない」(内田さん)

日本体育協会の調べでは、学校管理下の熱中症による死亡事例で肥満傾向にあったケースは71%と大きな割合を占める。首都圏にある県立高校の柔道部顧問は、この指摘にショックを受けた。

「周囲に熱中症で亡くなった子が4人いたが、大柄の子のリスクが高いとは知らなかった。どの競技も夏休みは練習量を増やし選手を追い込む時期ととらえているが、そういう意識は捨てたほうがいい」

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