12月施行の《スマホ新法》で、結局「ユーザーは得する」のか? あなたのスマホで「使用できない機能」が出てくる可能性も…

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違反となる「類型」や「想定例」といった文字が並び、これらは指針ではあり、それらが結果的には違法性の基準となってしまうことがある。この点についてアップルは「法的拘束力を有しないことを確認すべき」と要望している。つまり、何がダメで、何なら良いのかと、明確にすべきということだ。

またグーグルは、将来の日本企業から、規制対象となりうる存在が出てくる可能性を指摘し、現在指定事業者となっているアップル(iTunes株式会社を含む)とグーグルが不利な立場にならないよう運用されるべきだと主張した。

スマホ新法で来年以降のスマホはどうなる?

スマホ新法のガイドラインが発表されたことで、ユーザーは、大きな利便性や安全性を損なわず、今後もスマートフォンを使っていくことができる可能性が担保されたと言える。

ただしアップルやグーグルは、OSの機能やアプリストアで、スマホ新法に従う形での情報開示や制限解除といった対応に迫られる可能性がある。

特にアップルは、プライバシーを理由としたスマホ新法の回避が、どれだけ認められるかが不透明であり、EUでそうであったように、特定の機能が日本のユーザーから利用できないといった事態も想定しておく必要がある。

スマホ新法が狙っていたように、iPhone向けでも、Androidですでに利用可能なように、サードパーティーによる外部アプリストアの利用が可能となるかもしれない。

しかし開発者はこれに対応するかどうかはまだわからず、Androidのように、外部ストアが広く活用される状況となるかどうかは微妙と見ている。

競争環境が市場を進歩させることも否定しない一方で、スマホ新法も新たな「規制」と位置付けることができ、この規制によって、欧州のように、日本のユーザーが利用できない機能が出てくるとなると、最新のテクノロジーを利用できない不利益が発生する。

ユーザーからすれば、世界で最新のものが利用できる環境も、新しいものが次々に生まれる環境も、両立してくれれば、最も有益だと感じるが、スマホ新法がそうした運用になるかどうか、引き続き注目していくべきだ。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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