12月施行の《スマホ新法》で、結局「ユーザーは得する」のか? あなたのスマホで「使用できない機能」が出てくる可能性も…
スマホ新法に対して、アップル、グーグル、そのほかの事業者や個人から、パブリックコメントが出されている。この中で争点となっているのは、公平性、正当化事由の拡大、義務負担の軽減だった。
アップル・グーグルともに、スマホ向けソフトウェアとサービスを開発するために「投資」をしている。スマホ新法では、見方によっては、企業が開発した知的財産を解放し、タダ乗りを許せと解釈できる。
これに対して、アップルは、手数料から公正な収益を確保できるべき、と主張しており、今回のガイドラインでは、競争を阻害しない範囲で適切な料金を徴収することは、スマホ新法に反しないことが確認されている。
また、プライバシーを重視するアップルにとって、第三者への情報を開示することで、ポリシーとしてアップルが活用していないユーザーの個人情報を、第三者が活用してしまう可能性が出てくる。
例えば、新型コロナウイルスのパンデミックの際、「接触追跡アプリ」が利用され、不特定多数の感染者との接触があったかなかったかを判別できるようになっていた。
現在はこのOSの機能は使われていないが、もしスマホ新法に従ってOS機能を開示し、接触追跡機能が出会い系アプリに使われた場合、ユーザーのプライバシーや安全性が脅かされることになり、不適切だ、という主張だ。
グーグルは、「ユーザーの利便性確保」を、スマホ新法の義務遵守の除外理由に加えるべきだと主張している。現状、プライバシーやセキュリティ、青少年保護が除外理由となっているが、ユーザーのスマホ利用の利便性、効率性が毀損する場合も、除外理由とすべきと指摘する。
これらの注文は、ユーザーの安全性や利便性を重視するアップルやグーグルの姿勢が現れており、「だからiPhoneとAndroidが市場で選ばれてきた」という現在の2社独占までの経緯を反映するものとも言える。
どのように運用するのか、ガイドラインでは不透明

今回、ガイドラインと、パブリックコメントへの考え方が公正取引委員会から示されたことで、スマホ新法がどのように運用されていくのか、その解像度が高まってきたことは事実だ。
しかし依然として不透明な部分もある。例えば前述の「適切な手数料」とはいくらなのかは明確にされていない。サービスの価値や競争状況から総合的に判断されるとされる。では、いくらなのか?は明らかではないのだ。
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