デザインはピュアなスポーツカーだけれど、スポーツカー的なピーキーな運動性ではない。
考えてみると、ランボルギーニ車はどれも市街地でも乗れるし、サーキットでも楽しめる。両面性をもっているのが特徴なのだ。

テメラリオも、ランボルギーニ車の例外でない。というか、2つの方向性をともにより進めているような感覚があった。
ドリフトモードをそなえているのに驚く
テメラリオにはもうひとつ、どうしても伝えておきたくなる機構がある。
ステアリングホイールの内側に並んだスイッチから選べる「ドリフトモード」だ。2秒ぐらい、中央部分を長押しすると起動する。

レベル1から3まで3段階。回していくことで選択可能だ。外側のタイヤのトルクを増大させる。
ノーズが内側に入り、後輪が外に出ていく、いわゆるドリフト状態をつくりやすくする仕掛けだ。
レベル1では、ステアリングホイールで舵角をつけたあと、強めにアクセルペダルを踏み込むと、リアがふくらむ。踏み続けると、スピンに近くなる。
レベル2では、同じような操作を行っても、アクセルペダルの踏み込みはそこまで強くなくてよい。
後輪が流れ出したら、すかさずステアリングホイール操作と、アクセルの踏み方を調整しつつ、目線は次のカーブに固定。
ブリヂストンがテメラリオのために開発したタイヤは、グリップがいい一方で静かだ。しかし、さすがにこのときは高い“悲鳴”を上げる。

レベル3はドリフトがよりやりやすいが、コントロールはむずかしい。ドリフトしながら高速でサーキットを走っていける腕前が必要だ。
ヒョンデのスポーティEV「アイオニック5N」も、ドリフトモードをそなえているが、テメラリオのほうが、トルクが太い分だけやりやすい。
「サーキットでいろいろな走りを楽しみたい人のための“お遊び”の機構ですが、踏むといきなり最大トルクが出るモーターの特性をいかして、楽しめるよう仕立てています」
自身もスポーティなクルマが大好きだというエンジニアのモア氏は、上記のようにいって、にこにこと笑っていた。
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