後車軸の前に搭載されるV8エンジンは、3つの特徴をもつ。ひとつは、スムーズな回転マナーの実現。各部の精度を徹底的に見直している。
高性能化のためのフラットプレーン型クランクシャフトにくわえ、チタン製コンロッドを採用。バルブを開くためのフィンガーフォロワーはDLC(ダイヤモンドライク・カーボン)でコーティングされている。
これらは、「モータースポーツで培った知見にもとづいている」とランボルギーニはいう。

2つめは、大きなターボチャージャーを2基採用したこと。「ホットV」と呼ばれる設計だ。エンジン上部、Vバンクの間に収めることで、予熱して効率をよくするのだ。
3つめは、モーターの採用。3基が搭載されるうち2基は前輪を駆動するために使い、もう1基はエンジンに組み込まれる。
本領発揮はなんと1万回転
実際、モーターとターボの組み合わせと使い方が、テメラリオの独自性を際立たせている。
発進と加速は、エンジンに組み込まれたモーターがトルクを補完。そしてなんと、9000回転から大きなターボがフルで過給を開始する。最高出力の発生回転数は9000rpmからなのだ。
「ターボ車は出力のピークは高くても、落ち込みも急激。そうならないよう、モーターとの組み合わせを調整しました」
ランボルギーニでエンジニアリングを統括するロウフェン・モア(Rouven Mohr)氏は説明してくれた。
「このエンジンは、自然吸気エンジンのスムーズな回転マナーとターボによる大きなトルクをともにそなえていて、7000rpmから上で本領を発揮します」

実際に私がエストリル・サーキットで走ったとき、「どこまでも」という感じで回るエンジンに驚かされた。
サーキットの986mというホームストレッチで、3速をホールドしたままアクセルペダルを踏み込むと、回転計の目盛りは1万rpmに達した。
そのときの速度は時速250km。大きなRを描く最終コーナーからの立ち上がりで速度を乗せていけば、時速300km超えも実現できる。
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