どうせやるなら「一国二制度」の確立を--橋下・大阪都構想について

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どうせやるなら「一国二制度」の確立を--橋下・大阪都構想について

藤末健三 民主党参議院議員

テレビで見ない日はないくらい、大阪の橋下徹市長と、「大阪維新の会」の政策「大阪都構想」が注目を集めている。

橋下市長の「大阪都構想」について、現段階でわかっているのは「大阪府と政令指定都市(大阪市、堺市)を解体し、新たな統治機構・システムとして大阪都を創る」ということだ。その概要は以下の3点に集約される。
 
(1)大阪、堺両政令市を廃止し、府と合わせ「大阪都」に再編する。
(2)両市域に10~12の基礎自治体「特別自治区」を新設。公選の区長、区議会を置く。
(3)広域行政は、大阪都が一元的に実施。府と市による二重行政の無駄をなくす。

■現行の大阪府・大阪市と「大阪都」の違い


橋下徹、堺屋太一『体制維新−大阪都』(2011年11月、文藝春秋刊)より抜粋


 より詳細には以下のように整理することができる。

(1)大阪府を「大阪都」とする。
(2)大阪都は、大阪府庁と政令指定都市(大阪市および堺市)の二重行政を抜本的に改めるため、財源で裏打ちされた強い広域自治体となる。
(3)大阪都全域の戦略的事業(成長戦略、広域防災機能、広域に影響がある都市計画、インフラ整備など)や統一的事業(国民健康保険等の運営、消防や警察、道路の管理等)を進める。
(4)大阪市24行政区と堺市7行政区を廃止し、人口30万~50万人規模の基礎自治体(特別自治区)10~12区を設置する。
(5)特別自治区には公選制の区長と区議会を置く。
(6)特別自治区には中核市と同レベルの権限(地方自治法252条に規定)を与える。
(7)特別自治区間の税収格差問題を解決するために、「大阪都区財政調整制度」を創設。
(8)特別自治区以外の人口30万人の水準を満たさない市町村については、近隣の市町村との広域連携により中核市並みの権限と財源を移譲する。

大阪都構想の詳細については、(1)昨年末の大阪府知事・市長選挙の際に公表された「大阪都構想推進大綱」、(2)維新の会のホームページの「大阪都構想について」、(3)大阪府自治制度研究会の取りまとめた「大阪にふさわしい新たな大都市制度を目指して」などを参照されたい。

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