どうせやるなら「一国二制度」の確立を--橋下・大阪都構想について
大阪都までの道のり
この大阪都の実現は、3年後の2015年4月の完成がメドとされているが、その実現には、以下の3つのハードルをクリアする必要があるとされる。
(1)大阪府議会および関係市議会の賛成
(2)国会における関係法律の制定
(3)憲法第95条に基づく大阪府民・市民の住民投票での賛成
これらのハードルはかなり高いと言わざるをえない。しかし、大阪都の実現は、大阪における地方行政の仕組みを変えるという以上に、「一国二制度」によって、大阪で先端的な政策を実施・成功させ、その政策を日本全体で導入するというモデルになりうる。その意味で、大阪のみならず、日本をも変えることにつながると期待する。
参考:「大阪都構想推進大綱」における維新の会が想定する工程
2011年度 大阪府、大阪市、堺市に大阪都移行本部を設置。大阪都推進協議会(首長・議員参加)を設置し協議を開始
2013年度 大阪都と区の詳細な制度設計を完成
2014年度 住民投票を実施
2015年度 大阪府を大阪都に移行し、特別自治区を設置
どうせやるなら「一国二制度」の実現を
さて、大阪府の人口は約886 万人であり、その規模はシンガポール(人口約400万人)、フィンランド(約500万人)を上回る。大阪は十分国家として独立できる規模であるといえる。また、大阪市だけでも約267 万人、堺市は約84 万人の人口を有する。
これだけの人口規模を有する自治体が、「一国二制度」を実現すればインパクトは大きい。筆者は、現在の日本の閉塞感を打破し、地域経済の活性化を図る方策として、3つの「一国二制度」を提案したい。
(1)産業育成
まずは、産業の育成だ。中国、台湾や韓国はハイテク産業の法人税を下げている。筆者は以前から法人税の引き下げ、特に研究開発や設備投資を大幅に減税すべきと主張しているが、なかなか進まない。それならば、「大阪都」が新規工場誘致で法人税5年間ゼロ、工場用地はタダ、新規雇用1人当たり10万円の補助金などをやってはどうか。
むちゃなことをと思われるかもしれないが、隣国韓国のテグ(大邱)市は、企業誘致のために実際にこうした政策を行っている。当然のことながら、台湾やシンガポールでも特区的に法人税減税や融資などの支援措置をしているのである。やっていないのは日本くらいではないだろうか。
しかし、こうした自治体独自の制度は、中央政府が決めるのではダメだ。自治体が地域の実情や住民・企業などの意向を踏まえて、独自の規制緩和や減税を行うべきである。もちろん財源も国に頼らず自治体が独自に調達しなければならない。
国全体としては、既得権ゆえに進まない規制緩和や産業構造の転換を、大阪都から実現し、より自由で活力ある産業、経済を作っていくことができないだろうか。