イルカ、クマノミ、クラゲ…水族館の海洋生物「へぇー」と思う"意外な共通項"――海洋生物学者が解説する「水族館が100倍楽しめる」話
まず、生き物自体が買うと高い。そして、毎日餌を食うから、餌代もバカにならない。さらに、生きているものは必ず死ぬから、交換の頻度もかなり高い。
極めつきは、生き物ごとに、水槽の温度や水質なんかを維持してやらなければならんのだ。なるほど、1000円で済んでいたら御の字というレベルかもしれない。
話を戻そう。
そのように、そこそこの額の入場料を取るんだから、展示する生物にこだわらなきゃいけないの、わかるよね? 客も数千円払って、ボロボロやヨレヨレの生物なんか、見たくはないだろう。というか、ネット全盛の今、そんな水族館があったら、大量に低評価がつけられて、一瞬で潰れるよ(汗)。
そう、最低限、展示されるのは健康的な生き物でなければならないのだ。
ただし、それだけではダメ。水族館で展示される生物は、兎にも角にも、まずお客様のニーズに合わせなければならないのだ。
それはすなわち、“人気の生き物”ってことだ。水族館に行くと、どこもかしこもイルカ、ペンギン、サメ、クマノミ、クラゲ……になっているのも、彼ら、彼女らが人気があるからである。
「展示しやすい」生物とは?
さて、そんなお客のニーズに合わせつつも、やはり水族館には個性も必須だ。それを考えると、水族館に適した生物は、概ね以下のようになる。
言わずもがな。お客が“見たい!”という生物を置いておくのが、前述の通り。まず何よりも安牌。
例えば、某ディズニー映画で有名なカクレクマノミなんて、入れておくだけで子どもやカップルが「ニモだぁ~♡」とか大喜びで騒いでるもんね。「うるせえな、大人なら種名ぐらい覚えろよ」と、苦々しく思って見てんだけど。
さすがにこれは極端な例だけど、イルカとかペンギンとか、とにかく世間で有名な“可愛い”生物を置いておけば、観客は集まる。
(ちなみに筆者は、逆張りでも何でもなく、イルカもペンギンもそんなに可愛いとは思わない。
みんな口開けたイルカ見たことある? ギザギザの、おぞましい歯並びしてるで? あるいはペンギンの目をよく見てみ? 漫画のキャラもびっくりなほどの三白眼、めっちゃ目つき悪いよ。あんなののどこが可愛いんだ……? と、キャッキャしている家族連れやカップルを冷たい目で見ている)

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