一時的な現象? TOPIX最高値更新に浮かれるな。日銀会合や企業決算に半身の投資家

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日本の投資家にとって厄介なのは、どのような好材料にも必ずただし書きがついてくることだ。今回の貿易合意は明らかにプラス材料ではあるが、日本企業が直面する15%の関税は、年初の水準と比べれば依然として高い。経済にとっては追い風になるかもしれないが、それが逆に日本銀行による苦しい利上げを早める可能性もある。

また、石破首相は参院選敗北後に続投意欲を示した際、対米貿易交渉の渦中である点を挙げていた。このため、合意は政権にしがみつく理由を一つ失わせたとも言えるが、逆に合意をまとめた実績が政権維持を正当化する根拠にもなり得る。

こうした中で市場の注目は、目先に控える主要イベントに移っている。今年に入りほかのアジアの株式市場から出遅れ気味の日本株にとって、今後の方向性を占う手がかりとなる可能性がある。

まず31日の日銀金融政策決定会合だ。政策金利の変更は見込まれていないが、早ければ9月にも利上げに踏み切る可能性があるかどうかを巡り、声明や植田和男総裁の発言に注目が集まっている。これは債券と株式の双方にとって下押し要因になり得る。また、富士通や東京エレクトロン、日産自動車など主要企業の決算発表も控えている。

これらの決算は貿易合意の影響を測るには早過ぎるが、日本企業が今後長期にわたる高関税環境にどれほど備えているのかを見極める手がかりにはなる。最悪のシナリオと比べて見た目には良好な数字が出たとしても、それはまだ一時的な安心材料に過ぎない可能性もある。

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