一時的な現象? TOPIX最高値更新に浮かれるな。日銀会合や企業決算に半身の投資家

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今回の合意では、米国は日本製品に対する関税を15%とし、25%に引き上げるとの強硬な姿勢を改めた。日本側も5500億ドル(約81兆円)の対米投資を約束したが、その内容はあいまいで、市場関係者はその中身を見極めようとしている段階だ。

「確かに、長期的な上昇相場の土台は整いつつある」と、ロンドンを拠点に日本株専門のリサーチ会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツを運営するペラム・スミザーズ氏は指摘。「だが、最大の焦点は日銀の政策と、トランプ氏がこの関税合意を撤回するかどうかにある」と続けた。

財政不安

トランプ氏による対日貿易合意のニュースが流れた当時、人気ゲーム「シヴィライゼーション」に没頭していたというスミザース氏によれば、同氏の「営業部隊」は、日本市場の最新情報を求める顧客からの問い合わせに追われたという。 

熱気が広がるのも無理はない。7月の大半を横ばいで推移していたTOPIXは今週4%上昇し、過去最高値を更新。トヨタ自動車の株価は1987年以来の日中上昇率を記録し、ソフトバンクグループの株価も過去最高値を付けた。

貿易合意を受け、日本の10年国債利回りは2008年以来の高水準を記録。金融政策見通しの変化に敏感な2年債利回りも大きく上昇した。

アバディーン・ジャパンの荒川久志取締役兼運用部長は、関税合意はポジティブサプライズだったとした上で、市場がここまで早く動くとは思わなかったと述べた。

週末を前に市場には再び慎重ムードが広がった。日経平均株価とTOPIXはいずれもおよそ1%下落し、アジア全体の株安の流れに加わった。

投資家にとっての主な懸念の一つは、石破政権が野党の要求に屈して消費減税に踏み切り、日本の財政基盤をさらに悪化させるのではないかという点だ。こうした懸念は年初にも市場を揺るがしており、超長期国債への売り圧力が高まる局面が見られた。

今のところ、日本の投資家は答えよりも疑問の方が多い。対米貿易関係はおおむね明確になったが、それ以外の多くは依然として流動的なままだ。市場関係者の間では、今回の株価上昇は合理性というよりも期待感を映したものだとの見方も出ている。

T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、今回の株高を反射的な動きと表現し、「少し冷静になり、頭を冷やしてよく考える必要がある」と話した。

著者:アリス・フレンチ、グラス美亜

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