自動運転「日本出遅れ論」は間違い?進む「自動運転2.0」への進化の実態

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テスラも車内監視員をつけた状態での「完全自動運転タクシー実証」を開始したなどのニュースが日本でも流れている。

中国でも、第一汽車の車両を使ったバイドゥのアポロや、トヨタ車を使ったPony.Aiなどがロボットタクシーを実用化済みだ。

そうした状況下、4月末にトヨタはWaymoと「自動運転の普及を加速する戦略的パートナーシップの枠組み」の合意をした。

日本における自動運転の行方は?

こうした市場環境からも「日本は出遅れ」のイメージがつきまとうが、それは間違いだ。

たしかに、2010年代半ばまで「日本は自動運転(の技術競争)で欧米より1周遅れ」と指摘する有識者も少なくなかった。

そこで政府は、産学官連携で次世代事業を実用化に導くための施策・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のひとつに、自動運転を組み込んだ。

2期・都合9年半で、技術のみならず、法務、国際協調、人材教育など他分野で数多くの実績を残している。

筆者が昨年、取材した岐阜市の自動運転バス「GIFU HEART BUS」(筆者撮影)
筆者が昨年、取材した岐阜市の自動運転バス「GIFU HEART BUS」(筆者撮影)

欧米中がいわゆるAI分野を自動運転に持ち込んだため、外から見ると出遅れ感が目立つが、日本の自動運転に関わる知見が世界レベルにあることは間違いない。自動運転に関わる各種会議体に参加した身として断言する。

ただし、現実的には日本の“悪い癖”である「技術で勝って、事業で負ける」ことになりかねない。

全国各地で実施してきた公共交通の自動運転実証試験の在り方についても今一度、精査するべき時期でもある。

また、自家用車向けの自動運転については、製造コストと市場での受容性を考慮し、当面の間、ドライバーが運転の主体となるADASの高度化が主流となる見込みだ。

ホンダは2025年5月に「ハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能」をそなえた「アコード」を発売(写真:本田技研工業)
ホンダは2025年5月に「ハンズオフ機能付高度車線内運転支援機能」をそなえた「アコード」を発売(写真:本田技研工業)

実際、日本だけではなく、欧米中韓の主要メーカーがそうした事業戦略を進めている。では、日本における自動運転の行方はどうなるのか。

注目すべきは、多様な交通が相互に自動運転で連携することだろう。特に、物流分野での必要性を感じる。

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