パンもパスタも“小腸”の大敵に? グルテンが引き起こす、体の「サビつき」と「炎症」の真実

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小腸の粘膜上皮は絨毯の毛のようになっており、表面積がとても大きくなっています。ところがひとたび腸に炎症が起きると、細かい毛のような部分が扁平になってしまいます。扁平になれば当然、表面積が減ってしまうのは想像できるでしょう。そうなれば、栄養を吸収すべき面積も減ることになり、栄養障害につながります。

体内の細胞がサビる原因

②疲労感や老化を招く

老化を引き起こす原因に活性酸素があります。活性酸素がなんとなく体に悪いものだということは、知っている人も多いでしょう。

活性酸素はひと言でいえば体の中に起こるサビのこと。酸素は人間にとって必要なものですが、ひとたび活性酸素に変わったとたん、体内の細胞を酸化(サビ)させ、細胞の正常な機能を失わせてしまいます。その結果、老化やさまざまな病気を引き起こすのです。シミやシワはもちろん、動脈硬化や糖尿病、がんの引き金になることさえあります。

私たちは生きているだけで活性酸素を発生させています。ストレスや喫煙、過度なアルコールや激しい運動、紫外線、食品添加物の摂取などは、活性酸素を発生させる原因となります。さらにグルテンは持続的に腸の粘膜で炎症を起こし、活性酸素を体内に送り込み続ける原因になります。

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一方、体内では活性酸素を除去してくれる物質も同時に働いています。その1つがグルタチオンというペプチドです。グルタチオンの材料の1つに、システインというアミノ酸があります。実はグルテンの代謝産物は、システインの取り込みを阻害することがわかっています。

つまり、小麦のグルテンで活性酸素が大量につくられたうえ、その活性酸素の除去が阻害されてしまうのです。その結果、非常に疲れやすくなったり、老化が進みやすくなったりしてしまうというわけです。

グルテンの影響を受ける人の小腸の粘膜は、荒れているとお話ししました。粘膜の荒れ=炎症なのですが、グルタチオンが欠乏すると、この炎症もなかなか治まることがありません。小麦や乳製品を食べ続けていると、一向に腸内環境が改善しないのは、このような背景があるからなのです。

溝口 徹 医師

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みぞぐち とおる / Toru Mizoguchi

1964年神奈川県生まれ。福島県立医科大学卒業。横浜市立大学病院、国立循環器病センターを経て、1996年、痛みや内科系疾患を扱う辻堂クリニックを開設。2003年には日本初の栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニック(現・みぞぐちクリニック)を開設。オーソモレキュラー(分子整合栄養医学)療法に基づくアプローチで、精神疾患のほか多くの疾患の治療にあたるとともに、患者や医師向けの講演会もおこなっている。著書に『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』『発達障害は食事でよくなる』(小社刊)、『花粉症は1週間で治る!』(さくら舎)などがある。

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