GIGAスクール構想第2期で補助金増額。Windowsタブレット減少でiPadとChromebookが二分。デバイス価格高騰で地方自治体の負担増が課題に

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まず、ネットワークの問題。補助金が出たのはデバイスに対してなので、Wi-Fiなど通信ネットワークの確保は地方自治体に委ねられていた。実は、学校の通信にかかる負荷というのは想定以上に大きい。たとえば、オフィスであればそれぞれの仕事に応じて通信が発生するが、学校の場合、先生が「このアプリをダウンロードして下さい」と言った途端に35人の児童・生徒がアプリのダウンロードを行う。しかも、ひとりでもダウンロードできないと、授業が止まることになりかねない。学校のWi-Fi設置には、それなりの知見を持った業者の選定が必須で、そこがネックになった学校も少なくない。

各地方自治体に委ねられた機種選択も課題だった。MM総研の調査によるとChromebookが約42%、WindowsタブレットとiPadがそれぞれ約29%になっていたが、このうちWindowsタブレットの評判が悪く、バッテリーライフの短さや、OSのアップデートに時間がかかること、故障が多いことなどが問題になっていた。これはWindowsタブレットに課題があるというよりは、4万5000円という政府補助金の枠内で買えるWindowsタブレットにスペックの制約が大きかったというべきだろう。安価なデバイスを買って、使い物にならなかったという例は少なくなかった。

iPadは、サクサク動いて快適で、絵や音楽などにも使えることが生徒たちに好評。反面、第1期で導入したiPad(第7世代)の32GBモデルは、すでに容量が課題となっていた(図版:枚方市教育委員会提供)

iPadの場合、ほぼ一番廉価な標準モデルのiPad一択になるが、ChromebookやWindowsタブレットの場合は、どんなハードを導入するかによって費用は異なる。そして、予算を限ると、性能的に制約が出てくるというわけだ。

また、実際問題として、端末本体だけでなく、クラウドサービスの費用や、MDM(端末やアカウントを管理する仕組み)、セキュリティリスクへの対策などにも費用がかかる。地方自治体に予算があるか、また教育に投資する覚悟があるかによって、多少の格差が生まれてしまっているのも現実だ。

続く第2期はどうなるのか

当初は、GIGAスクール構想(第1期)のデバイスが更新時期を迎えると、あとは地方自治体の予算頼みになるのではないかと心配されたが、無事第2期の予算が通り、2025年度以降に更新されていくことになった。しかし、政府は「3度目があるとは思って欲しくない」と言っており、そうなった場合、次の更新は地方自治体の予算頼みとなる。政令指定都市や、大企業本社や産業があり税収が多い自治体、もしくは教育に予算を割く覚悟のある自治体はなんとかなるかもしれないが、税収の少ない過疎地などではデバイスを更新できない可能性もある。さらに教育環境の格差が広がる事態は、なんとしても避けて欲しいところだ。

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