原爆投下から80年。昨年は日本被団協が初のノーベル賞でやっと認められた「ヒバクシャの声」。それでも「核なき世界」が遠のく理由
「ノーベル平和賞を受賞したこのタイミングで、最低でもオブザーバー参加を」という声が、被爆者を中心に高まりました。日本の石破茂首相は、「真剣に検討する」と表明していましたが、政府は2025年3月3日から5日間の日程でニューヨークの国連本部で行われた核兵器禁止条約の3回目の締約国会議へのオブザーバー参加を見送りました。
同じアメリカの「核の傘」のもとにあるドイツはこれまでオブザーバー参加していたのですが、今回は不参加でした。ロシアがウクライナに軍事侵攻し、核兵器の使用をちらつかせる中で、オブザーバーとしても参加するわけにはいかないという判断だったのでしょう。
「核兵器を保有することが核抑止になる」という考え方があります。アメリカにトランプ大統領が返り咲き、ますますこの考え方が国際社会の主流になっていくのではないでしょうか。核なき世界への一歩が、大きな問題に直面しています。
次世代の担い手「高校生平和大使」
実は毎年、ノーベル平和賞発表の日、広島市役所には取材陣が集まっているのですね。各社が日本被団協の受賞の瞬間を撮影しようというわけです。「あ〜、今年もダメだった」とガッカリ帰っていくということが長らく続いてきました。
「日本被団協が受賞しないのはおかしいだろう」という声があがっていたので、今回はやっとという感じです。
受賞の瞬間、「高校生平和大使」3人が顔を見合わせて驚いていたのが初々しかったですね。戦後80年つまり被爆80年が経ち、各都道府県にあった47の被爆者団体のうち12の被爆者団体が活動休止や解散の発表をする中、高校生平和大使は、被爆者を「昔話にしてはいけない」と活動しています。悲惨さを伝えていこうという次世代の担い手、頼もしい存在です。
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