ブリヂストン、「冴えない中計」に透ける深謀 改革の"本丸"は中期計画の外にあった
中国の景気減速は、タイヤ業界の世界最大手にとっても他人事ではなかった。
ブリヂストンは10月16日、2016~2020年度の5年間を対象にした新しい中期経営計画を発表した。これは5年先を見据えた計画を毎年見直したうえで発表しているもの。従来の中期計画と同様、売上高営業利益率10%以上、ROE(自己資本利益率)12%以上を継続的に確保していく目標が掲げられた(前期実績は営業利益率13%、ROE15.5%)。
中期計画そのものは代わり映えしない内容だった。むしろ会見で報道陣の注目を集めたのは、同時に発表した2つの改革だ。このうち質問が集中したのが、国内生産体制の再構築である。
本当に注目すべき改革とは?
東京都小平市にある開発・生産拠点に300億円規模の投資を行い、研究開発機能を強化。その一方、同工場で手掛けていた乗用車用や小型トラック用のラジアルタイヤの生産は、ほかの国内工場に移管する。中でも、彦根工場では16年から20年にかけて150億円を投じ、一層の競争力向上を狙う。
だが、生産体制の再構築よりも注目すべきは、もう1つの改革のほうかもしれない。鉱山機械と農業機械を管轄する社内カンパニー創設がそれだ。両事業を担う社内の機能を集約し、窓口を一本化する。
資源メジャーであるリオティントやBHPビリトンの主要鉱山向けに豊富な実績を持つ同社の鉱山機械用超大型タイヤは、世界でも仏ミシュランを含めた2~3社しか造れない高付加価値製品。販売本数は2013年度まで6年連続で2ケタ増と、高成長が続いていた。
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