東京オリンピックが名物「リーフパイ」を生んだ? 創業78年の喫茶店・銀座ウエストがたどった数奇な運命

銀座ウエストの名物といえば「リーフパイ」と「ドライケーキ」。しかし、名物となる裏側には意外な経緯があった(撮影:今井康一)
朝9時の開店と同時に、次々と人がなだれ込んでくる。今年で創業78年のレトロなスタイルが魅力の喫茶店「銀座ウエスト」。創業時以来の古きよき雰囲気を今に伝える貴重な店だ。
80年近くに及ぶ歴史の中で、何がそこまで人をひきつけてきたのか。本記事では銀座ウエストの2代目社長、依田龍一氏の回想も交えつつ、前後編の2回に分けて同店の魅力の秘密を解き明かしていく。
後編:原価率50%近いの商品も! 銀座ウエストが78年愛される「不変の哲学」と「驚異の素材主義」の秘密
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80年近い歴史の意外すぎるスタート
こげ茶色の木の扉を開けると、そこには凛とした空気が流れている。クラシック音楽が低く流れ、昔ながらのウェートレスさんが、丁寧に席に案内してくれる。白いカバーが清潔な背もたれの高い椅子に座ると、タイムスリップしたかのようだ。
メニューは、ロングセラーのバターケーキやクリームがたっぷりと挟まった大ぶりのシュークリームなど、どれも懐かしさを超えたおいしさ。一口サイズにカットされたサンドイッチも品がいい。ドライケーキやリーフパイはいついただいてもうれしいし、東京土産に選ぶ人も多いことだろう。
銀座ウエストの歴史は、1947年創業の高級ステーキ店から始まった。その名も「グリル・ウエスト銀座」。現在の銀座ウエストのある場所で開業した。店舗周辺が「西銀座」と呼ばれていたので、ウエストと命名したという。
戦後まもなくのこと、初代社長で先代の依田友一氏は「そんじょそこらにはないものを造りたい」という一念で、今の代金に換算すると5万円くらいする、フルコースを食べさせる超高級店を計画した。
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