中国発米国行き「コンテナ船運賃」が乱高下の深層 5月の米中合意で急騰後、6月上旬ピークに急落

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「中国の輸出企業の(アメリカ向け)出荷が5月末に集中したため、コンテナ海運各社はアメリカ航路の輸送需要(の回復)を楽観的に予想し、増便による輸送力引き上げに走った」。財新記者の取材に応じたあるフォワーダー(貨物運送代理業者)の関係者はそう証言した。

コンテナ海運各社の増便に貨物需要の伸び悩みが重なり、運賃下落に拍車がかかった。写真は上海港のコンテナ埠頭(同港の運営会社ウェブサイトより)

先物取引業者の華泰期貨の調査レポートによれば、上海港からアメリカに向かうコンテナ航路の6月の輸送力は1週間当たり平均35万TEU(20フィートコンテナ換算)と、5月(同24万TEU)に比べて46%増加。7月はさらに増えて同35万9000TEUに達する見通しだ。

海運各社は慌てて減便

ところが、追加関税の90日間の引き下げが終了した先の見通しが不透明なことから、6月以降は中国の輸出企業の出荷ペースが鈍化。その結果、実際の貨物需要は海運会社の予想を大きく下回った。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

海運業界団体のボルチック国際海運協議会(BIMCO)の分析によれば、アメリカの輸入企業は(トランプ政権の関税政策の不確実性を回避するために)2025年前半に集中的かつ前倒しで貨物輸送を手配した。そのためBIMCOは、年後半のアメリカ行き貨物輸送は伸びが鈍ると見て、通年の伸び率の予想値を下方修正した。

コンテナ海運各社は、ここにきて慌てて輸送力を調整している。イギリスの海運コンサルティング会社、ドゥルーリーのデータによれば、太平洋横断、大西洋横断、アジア−北ヨーロッパ間、地中海の各航路では6月30日から8月3日までの期間に予定されていた合計48便の運航中止が決まり、そのうち半数近くが中国発アメリカ行きだった。

(財新記者:包志明)
※原文の配信は7月4日

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