「おもてなし」はどこへ? 参議院選挙を前に沸き上がる《外国人ヘイト》の誤解と代償
しかし、インバウンド観光客に関しては、「多すぎる」と、まるで迷惑者扱いだ。30年間の停滞を経て、日本経済で数少ない成長分野を祝うかわりに、「観光公害」という言葉が生み出され、観光客を水俣病や四日市ぜんそくといった公害病と同列に扱っている。
有権者は、外国人なしでは日本社会が機能しなくなることを念頭に置くべきだ。コンビニで外国人従業員から買った最後の弁当は、おそらく外国人によってパッケージされ、外国人が働く農場で育てた食材を使用しているだろう。また、東京証券取引所の取引の約6割は外国人株主によるものだ。この外国人への依存は、日本社会の高齢化と人口減少に伴い、今後さらに深まるだろう。
外国人の地位の脆弱さは、新型コロナウイルス流行中、長期滞在者であっても、日本国籍でなければ「日本を離れると再入国できない」と告げられたことで明らかになった。
一般的に、日本においては日本人よりも外国人のほうが権利保障はずっと弱い。1978年のマクリーン判決で、最高裁は、外国人が行使できる憲法上の基本的人権もあるが(すべてではない)、基本的人権を行使したことが理由で在留が認められなくなっても文句は言えないとしている。
外国人は社会支出を多く負担
外国人が社会支出の負担であるという主張は誤りだ。むしろ、厚労省の示すデータによれば、外国人は受け取るよりも多く支払っている。
それはそうだろう。彼らは、若く生産的な日々を日本で過ごし、その後母国に帰国することが多い。若く健康な彼らの多くは健康保険料を支払っているが、病院にはほとんど通わない。大多数が年金保険料を支払っているが、彼らのほとんどは日本で年老いることがないため、基本的にその恩恵を受けることはない。
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