「天上から見守り、お導きいただき、国の行く末にご加護あらん」と石破首相、「後ろから襲われる無念はいかばかりだったか」と野田氏

参院選の街頭演説中に安倍晋三・元首相が銃撃されて死亡した事件から3年を迎えた8日、石破首相(自民党総裁)は銃撃現場から約5キロ・メートル離れた奈良市内の霊園に建てられた慰霊碑を訪れ、花を手向けた。
「日本は今、極めて内外ともに厳しい。天上から見守り、お導きいただき、国の行く末にご加護あらん」
黒いネクタイを締めた首相は、「 留魂碑(りゅうこんひ) 」と名付けられた碑に15秒ほど手を合わせた後、こう祈りをささげたことを記者団に明かした。
首相は安倍政権下で党幹事長などを務めた後、安倍氏と距離を置き、時に政権批判も辞さず、「政敵」と言える関係にあった。命日にあわせて訪問したのは、首相の「民主主義を暴力で妨げることは許されない」という思いからだ。
参院選の序盤情勢で自民は苦戦を強いられており、首相周辺は「安倍氏を支持してきた保守層にアピールする狙いもある」と打ち明ける。首相は奈良市内で行った応援演説で「安倍さんの思いをもう一度、思い起こしたい」と語り、安倍氏が力を入れた防衛力強化の重要性を訴えた。
立憲民主党の野田代表はこの日、JR札幌駅前で演説に立つと、冒頭で安倍氏の銃撃事件に触れ、「マイクを握って前を向いて未来を語っている時、後ろから襲われる無念はいかばかりだったか」と悼んだ。
国会で行われた追悼演説で、野田氏は同期当選だった安倍氏を「 仇(かたき) のような政敵だった」と表現し、首相在任中に国政選で勝利を重ねた安倍氏に「勝ちっ放しはないでしょう」と呼びかけた。記者団を前に、当時の自身の発言を引き合いに出すと、「そろそろ我々も勝ちにいかなければいけない。自民は『背水の陣』だが、我々は『水中の陣』だ。水から崖に爪をあて、はい上がっていく覚悟で勝ちにいく」と表情を引き締めた。
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