「中国文学=三国志」と結びつける“日本人への憂慮” 中国では東野圭吾や宮部みゆきが人気! 日本人は『三国志』の城堡から脱出してみては?

「中国文学」と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
「三国志」、「西遊記」、「史記」、「漢詩」――。こういった答えが出てくるかもしれない。
ただし、それは全部「過去の中国」だ。いま、中国では、日本人と同じように恋に悩み、上司に怒られ、SNSで傷つき、家族とすれ違い……といった「等身大の悩み」を描く文学作品が次々と生まれている。
文学は心の国境を越えるパスポートだ。言葉も文化も違うけど、文学を通して見れば、悩みの種類はびっくりするほど似ているはず。隣国の「人間の心」に触れてみてはどうか。きっと、「あ、同じだ」と思える瞬間がある。それが、文学の力だ。
中国語圏で東野圭吾は圧倒的な存在感
日本の書店では、現代中国作家の作品を見かけることはめったにない。一方で、中国の書店やオンラインショップには、多くの日本作家のベストセラー作品が並んでいる。
現在、中国で最も知られている日本人作家といえば東野圭吾だ。累計翻訳部数、人気投票、最新刊の話題性など、いずれを取っても圧倒的な存在感を放ち、中国語圏での累計発行部数は、すでに2300万部を超えていると推定される。
東野作品の魅力は、単なるミステリーにとどまらず、日本社会が抱える格差や教育、家庭問題といったテーマにあるため、今の中国でも共感されやすい。若い世代を中心に多くの読者を惹きつけてやまないのだ。

東野圭吾以外にも、中国で人気のある日本人作家は多い。夏目漱石、川端康成、太宰治、三島由紀夫といった大作家たちの作品は、文学系の大学生や読書クラブの参加者を中心に、今も読み継がれている。
また、言うまでもなく、村上春樹は中国の読者にとって特別な存在だ。彼の作品は常に注目を集め、中国読者たちの心の深いところで静かに響いている。
黒柳徹子の『窓ぎわのトットちゃん』や渡辺淳一の『失楽園』も、長年にわたり愛読されてきたロングセラーだ。
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