「頭金なしのアルファード」「手取り20万円でもいける!」“あるある”描写が大バズりも、「残クレ」の笑えない実態
一方で、返済やガソリン代の負担で生活費が圧迫される現実や、契約満了時に条件を満たせず、追加負担が発生する厳しい現実も歌われている。
こうした動画は「アルファード」だけでなく、「ヴェルファイア」「レクサス」など、ほかの高級車にも広がっている。
「残クレ」の仕組みと注意点
残クレとは、車両価格から「残価」を差し引き、残額を分割して支払う仕組み。トヨタ公式サイトでは、以下のようなメリットが説明されている。
・契約と車の購入手続きをスムーズに進められる
・ライフスタイルに合わせて完済前に乗り換えられる
こうした「手軽さ」から、特に若い世代に広がっている。日本自動車工業会の調査(2019年)によると、残クレ利用者の約4割が20代以下で、高価格帯車購入層の3割弱が利用していた。
ただし、メリットばかりではない。
契約期間は一般的に3〜5年で、契約満了時には自動車を返却する必要がある。返却時には、事故歴がないこと、走行距離が規定内であることなど、条件を満たさない場合は差額の支払いが必要になる。
トヨタの公式サイトでは「1カ月あたりの走行距離制限が設けられている場合があります。超過すると追加料金が発生するため、長距離移動を頻繁に行う方は注意が必要です」と説明している。
さらに残価にも金利がかかる点には注意が必要だ。車を返却せずに乗り続ける場合は、残価を一括または再クレジットで支払って買い取ることになるが、その際もまとまった資金が必要になる。
残クレ、購入のハードルを下げる一方、契約内容が複雑でトラブルも少なくない。弁護士ドットコムニュースが取材したところ、国民生活センターには以下のような相談が寄せられていることがわかった。
ある消費者は、軽自動車の購入時に「新古車と同じ価格で新車が買える」と営業担当に説明された。「早く車がほしかった」とのことで、その場で契約を結んだ。
ところが後日、家族に契約書を確認してもらったところ、5年後に残価を支払って買い取るか、車を返却しなければならない「残クレ」契約の内容だった。「残価設定が高額で、そうした説明が一切なかった」としてトラブルになった。
軽自動車を残クレで契約した。販売店から渡された書類を確認したら、「車内を清潔に使い、臭い・傷をつけないこと」と強く念押しされた。しかし、相談者は車内で喫煙したり、食事をする習慣があり、「査定額が下がり、追加費用が発生するかもしれない。自分の車なのに自由に使えない」と心配になっている。