「あのとき私が…」末期がんの母を看取った50代女性の心の傷とは――大切な人が亡くなる前にしておきたい《後悔しない向き合い方》

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母親亡き後、女性が語った後悔とは――(写真:KiRi/PIXTA)
NPO法人HOPEプロジェクト実施した「『人生の最終段階における緩和ケア』調査結果報告書」)によれば、がんの看取りを経験した遺族が“つらさの種類”の筆頭に挙げるのが、「もっと〜〜すればよかった」という思いだ。
これまで1000人を超える患者を在宅で看取り、「最期は家で迎えたい」という患者の希望を在宅医として叶えてきた中村明澄医師(向日葵クリニック院長)が、若い人たちにも知ってもらいたい“在宅ケアのいま”を伝える本シリーズ。
今回のテーマは、大切な人を亡くした家族が後悔を最小限に抑えるためのコツ。母親を看取ったあと、「あのときこうしていたら」という強い葛藤にさいなまれた娘のエピソードを基に、やりがちな言動や陥りがちなパターンを紐解き、それらを防ぐためのヒントを考えていく。

「お腹が痛い」「調子が悪い」

「あのときに検査を受けるようにと、もっと強く言っていたら、もしかしたら母は助かったかもしれない……」

そう涙ぐみながら筆者に打ち明けたのは、大腸がんを患っていた70代の母親を看取ったAさん(52)です。

Aさんは「お腹が痛い」「調子が悪い」という母親の訴えを聞いていましたが、加齢の影響だと思い込み、「一度病院に行って検査してもらったら?」と軽い口調で伝えたまま、仕事や子育てなどの日常に追われていたそうです。

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