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猛暑の救世主なるか。ペルチェ素子で水を冷却・循環、上半身全体を冷やすウェア「ChillerX」が登場

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  • 石井 徹 モバイル・ITライター
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気温35度の環境下で、人が装着しない状態のパッド温度は15度まで下がる。実際に着用すると体温の影響で20度前後になるが、それでも15度の温度差は十分な冷却効果をもたらす。

1年かけた開発で低価格を実現、農業からサバゲーまで対応

従来、ペルチェチラー方式の冷却ウェアは構造が複雑で電気設計の難易度も高く、10万円を超える製品がほとんどだった。Shiftallは2023年からワークマンと提携してペルチェ採用の冷暖房服を市場投入してきた実績を活かし、全て内製で電気設計、メカ設計、ソフトウェア、製造管理を行うことで3万9900円という価格を実現した。

開発には約1年を要した。「4月には終わるだろうと思っていたが、目標温度に到達しない、安定した品質で量産できないなど課題が山積した」と岩佐氏は振り返る。特にヒートシンクの開発に苦労し、小さい筐体の中で50Wもの熱を処理するため、中国のヒートシンクメーカーと協力して独自開発にこぎ着けた。

シフトールの岩佐琢磨CEO(筆者撮影)

大手販売店との協業では、通常4〜5月には生産を終えている必要がある。今回ワークマンなどとの協業を見送ったのは、この開発遅延によるタイムスケジュールの問題だった。しかし、電気設計から製造管理まで全て内製化しているShiftallだからこそ、8月上旬という夏本番での発売に踏み切れた。「季節性の商品だから諦めて来年でいいかというわけにはいかなかった」と岩佐氏は語る。

実際の作業シーンとしては、年間を通して室温が高いビニールハウスのような現場も想定される。本体はハウス内の40度の環境でも問題なく動作するが、モバイルバッテリーの使用上限温度が35〜40度に設定されている製品が多いため、高温環境ではバッテリー側が先に限界を迎える可能性があるという。砂埃がある農業環境での使用は問題ないとのことだ。

ChillerXの本体には複数のフックがあり、別売りの延長チューブを使えば装着位置を変更できる「ハッカブル」な設計を採用している。リュックと併用する際は、延長チューブで本体を腰回りに移動させれば吸気口を確保できる。サバゲーのプレートキャリアに装着したり、エアコンなし車のシート背面に取り付けたりと、使い方は工夫次第だ。

延長チューブでファンの配置を変えることもできるが、公式に固定方法は用意されておらず、DIY慣れしている人向けの仕様になっている(筆者撮影)

2025年8月上旬の出荷に向けて、すでに生産スケジュールは確定している。建設、物流、農作業などのビジネス用途だけでなく、ロードバイクや釣りなどの趣味でも使える価格帯を実現したChillerX。記録的な猛暑が続く日本の夏に、新たな選択肢が加わることになりそうだ。

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