猛暑の救世主なるか。ペルチェ素子で水を冷却・循環、上半身全体を冷やすウェア「ChillerX」が登場
ただし、ペルチェ素子には課題もある。冷却面の反対側は「爆発的に熱くなる」(シフトールの岩佐琢磨CEO)ため、この熱を逃がさないと冷却性能が低下してしまう。ChillerXでは大型のヒートシンクとファンを搭載し、高出力でも安定して動作するよう設計されている。

ChillerXが採用した「ペルチェチラー方式」は、ペルチェ素子で水を冷やし、その冷水を電動ポンプでベスト内に循環させる仕組みだ。従来のペルチェ直冷式が「点」で冷やすのに対し、ChillerXは約14倍の面積を持つ水冷パッドで「面」として上半身を包み込む。

「人体は、狭い範囲を強力に冷やすより、広い範囲をゆるく冷やすほうが圧倒的に冷たく感じる」と岩佐氏は説明する。「真夏のプールは27度くらいあるが、入っているとすぐに寒くなる。背中に0度の保冷剤を押し当ててもそこまで寒くはならない」。水を介することで、ペルチェ素子を直接肌に触れさせることなく、50Wという高出力を扱えるようになった。
氷不要で3時間連続動作、体型に合わせて調整可能
ChillerXの最大の特徴は、電気で冷やし続けるため時間が経ってもぬるくならないことだ。氷水を循環させる従来方式では、クーラーボックスの持ち運びが必要で、替えの氷も家を出た瞬間から溶け始める。朝一番は冷たくても、昼過ぎには生ぬるい水が循環するだけになってしまう。
対してChillerXは、3万mAhのモバイルバッテリーでECOモードなら約3時間、MAXモードでも1.5時間動作する。バッテリーを2〜3本用意すれば丸1日使い続けられる。USB Type-C PD65W対応のACアダプターに接続すれば、バッテリー残量を気にせず連続動作も可能だ。
専用ベストの冷却パッドは、熱中症対策で重要とされる脇の下から胸、そして首直下の血管集中エリアまでカバーする。胸と腰のアジャスターベルトで調整でき、上半身の筋肉を使う仕事で胸板が厚い人でも、脇の下に冷却パッドが密着する形状を採用した。
本体重量は約1.6kg(バッテリー含まず)で、ハンドバッグ程度の大きさのファンを背負う形になる。バックパックを背負う感覚に近く、重さ自体はそれほど負担に感じない。ただし、大きめのリュックを上から背負うとファンの吸気口を塞いでしまう可能性がある。

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