都市伝説や予言、暗いニュースを見て不安になる人が増加中? 精神科医が教える《感情の境界線》の守り方。不安や心配はどうすれば軽くなる?

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自分の身に起こったことではないのに、ニュースに接することで被災者や被害者に共感して、自分自身がつらくなったり疲れてしまったりすることを「共感疲労」といいます。

そして、スマホには自分が見たニュースに関連したニュースがどんどん上がってきますから、「ニュースを見る→つらくなる→別のニュースを見る→やっぱりつらい……」という共感疲労のループから抜け出せなくなってしまいます。

じゃあ共感疲労をどうやって減らすかというと、一番はつらい情報に接する時間を減らすことです。

「スマホを見ない時間なんてつくれない!」という人がいるかもしれませんが、今はアプリで「スマホを何分見ています」と時間を教えてくれたり、何分以上使ったらお知らせが来たりする機能がありますよね。

結局お知らせが来ても無視して見続けることにはなるんですけど、一つ邪魔をしてくれる存在にはなると思います。

検索エンジンには、同じようなニュースが追いかけてこないようにする設定がありますし、iPhoneだってプライベートブラウズで読んでいれば履歴に残らず、関連する内容が上がることはなくなりますから、そういうところを見直してみるのも一つの手だと思います。

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共感疲労には、自他の境界のあいまいさが影響します。「自分のことと社会で起こっていることは別、自分は自分」という、自分と他者を区別する境界線がしっかり引けないと心は容易に影響を受けます。

だから暗いニュースを見て落ち込んだりしたときは境界線がしっかり引けているかどうか、考えてみましょう

マインドフルネスのように「今ここ」に目を向け、自分は安全に切り離されていて、ここには危険なものが存在しない現実、というのを再確認してみることもいいと思います。

自分がしんどくなっては元も子もない

共感疲労は災害支援者や看護師さんなど、支援職を選ぶような性格の人に多いといわれています。

たとえば災害支援のボランティアでは、被災地で大変な思いをしている被災者の方と、支援者として行っている自分との境界がなくなってしまい、相手の立場や感情に入り込みすぎてしんどくなってしまう人がいます。

そういうときに「あなたはそういう立ち位置じゃないでしょ」と引き戻す役目の人間が必要なので、ボランティアなどに行く際はひとりではなくほかの人と一緒に行ってください、と言われることもあります。

つらい思いをしている人に共感して一緒に泣いてあげられるのは素敵なことだし、聞いてもらう人にとっては、あなたはいい人かもしれません。でも、深入りしすぎてあなたがしんどくなっては元も子もありません

だから、ちゃんと自他の境界を意識しておくことが大切なのです。

まとめ:共感疲労を減らしたいなら、つらい情報に接する時間を減らすこと。スマホの機能や設定を上手に活用しましょう。
藤野 智哉 精神科医

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ふじの ともや / Tomoya Fujino

1991年生まれ。精神科医。産業医。公認心理師。秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。 障害とともに生きることで学んできた考え方と精神科医としての知見を発信。著書に『「自分に生まれてよかった」と思えるようになる本』(幻冬舎)『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)、『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)など。

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