都市伝説や予言、暗いニュースを見て不安になる人が増加中? 精神科医が教える《感情の境界線》の守り方。不安や心配はどうすれば軽くなる?

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こういうタイプの人は毎日のように不確かな情報を見て「来週には悪いことが起こる」などとおびえていますが、結局、悪いことは起こっていないですよね。

「この間は悪いことが起こらなかった」「その前も起こらなかった」と書き出していってみると、当たったことばかり記憶に残っていても、実際は当たらないことのほうが圧倒的に多いと気づくはずです。それが数字として見えてくると、少し自分のお守りになったりすると思います。

さらに「今まで9割が当たっていないんだから、今回だって9割はきっと当たらないよね」という考え方ができるようになってくると、今までよりも不安にとらわれにくくなったりもします。

不安の中にいると「絶対にそれが自分の身に降りかかってくる」と思ってしまいがちですが、今までの予想は9割当たっていない。その状況を客観的に見られるようになるといいと思います。

いちばんいいのは、何か違うことに意識が置き換えられる瞬間が増えていくこと。何かに夢中になっている瞬間は不安や恐怖を忘れることができます。

ただ、なかには病気が原因で不安の症状が出ている場合もあります。病気からこういった症状が出ている場合は適切な治療が必要になります。

病気未満の人の中でも、同じストレスに対ししんどくなる人とならない人がいるのはなぜでしょう。もちろんストレス耐性もありますが、ストレスをいかに処理するかという本人の能力によるところも大きいんです。

ストレスになる出来事が起こったとき、それをどう認知してどう処理していくかって、その人の技術です

たとえば怒っている人がいたときに「この人は怒っている。きっと私が何か悪いことしたんだ、しんどいな」と思うのか、「この人、なんでこんなことで怒ってるんだ?しょうもない人だな」ととらえられるかによって、自分が相手の怒りを食らうかどうかが変わります。

いつもしんどくなってしまう人は前者のようなとらえ方をしているわけですが、後者のようなとらえ方ができるようになると、同じ世界に生きていても受けるストレスが減る。その結果、不安や恐怖などの症状が出にくくなるということがあります。

僕たちは物事をとらえるとき、あるがままとらえるのではなく、自動的、無意識的に意味を乗せて認識しています。そこでよくない意味づけをしてしまうと毎回毎回、出来事を悲観的にとらえて「私にばっかり悪いことが起こる」などとうまくいかないとらえ方をしてしまうわけです。

世の中のことって、ある程度はバランスよくできていて、自分ばっかりに不幸なことが起こるわけではない。なのにそう思ってしまうのは、自分自身が物事を不幸にとらえている面があるからだったりもします。

人は誰でも物事をとらえて、感情が生まれて、行動が生まれます。だから「嫌な出来事があった→怒りという感情が生まれた→攻撃をしてしまう」という失敗パターンが発生することもあります。

物事をとらえた後に生まれてくる感情は変えられません。出来事は勝手に起こってくるし、物事をとらえてしまうとそれに対して勝手に感情が生まれますから。

でも、物事をとらえる際の認知を変えることができれば感情が変わり、行動が変わります。物事、認知、感情、行動の中で自分で直接変えられるのは、認知と行動だけなんです。

【まとめ】物事のとらえ方=認知を変えることができればその後に生まれる感情と行動が変わってきます。

その心の痛みは「共感疲労」かも

地震や台風などの災害、世界各地で起こっている戦争や紛争、子どもの虐待や性犯罪など、容赦なく飛び込んでくるニュースに心を痛めている人も多いと思います。

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