ネットとリアルをつなぐFacebookの戦略《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
全世界の利用者が8億4500万人を超えるFacebook。世界のインターネット人口が約20億人といわれるから、その約40%がFacebookを使っている計算になる。
ある調査では、米国、カナダでは国民の半分近く、英国、台湾、オーストラリアでも40%を超える人がFacebookを使っている、という。
3月16日、日本でも、利用者数が1000万人の大台を達したとの公式発表があった。昨年9月の発表から半年で利用者数が倍増した。
全世界でこれだけの人が使っているとなると、当然、Facebookのリアルへの戦略は、O2O(オンライン・ツー・オフライン)ビジネスの今後に大きな影響を与える。
Facebookは、利用者にサービスを無料で提供する代わりに、「個人情報」を基にした広告収入で利益を得ている。Facebookの2011年の総売り上げは、37億ドル、利益は10億ドルと公表されている。うち、広告は売上高の85%を占める。
友人関係や個人の性別、学歴、趣味・嗜好のデータを基に最適化された内容で自動的に広告が配信されており、広告価値が高い。
その広告価値を支えるもの。まずは、実名制の「ソーシャルグラフ」だ。
「世界の誰とでも6人でつながる」。友達の友達の友達……と繰り返すことにより、世界のすべての人間がつながっているという「6次の隔たり」と呼ばれる考えだ。1960年代に米国の社会心理学者スタンレー・ミルグラムが実施した、スモールワールド実験に由来するとされている。
Facebookは実名制のため、この現実世界の人間関係をネットの世界に持ち込むことに成功した。従来のネットのサービスは、匿名で利用し、リアルな人間関係とのつながりが弱かった。Facebookは、「実名」でのつながりを実現したところが、根本的に異なる。現実世界の人間関係を基にして、ネットで交流するように設計されている。