ネットとリアルをつなぐFacebookの戦略《O2Oビジネス最前線・黎明期を迎えた新・消費革命》
ハーバード大学生寮の一室での19歳の青年、マーク・ザッカーバーグの思いつきが、ネットにとどまらず現実の世界に革命を起こした(チュニジアのジャスミン革命では、Facbookの情報共有が大きな原動力になった。アメリカのオバマ大統領は、Facebookを使って、国民に直接語りかけている)。
「いいね!」という共感のシグナルは、友人、世界へと共有・伝播され、緩やかなつながりが形作られる。リアルの世界でたとえば「この店いいね!」と1人でつぶやいても誰にも届かない。ところが、Facebook上で「いいね!」やコメントを書き込むと、あっという間に友人、知人に広まる。
友人の投稿に共感することが、リアル店舗の売り上げにも影響を与えるのだ。まさにオンラインからオフラインへというO2Oの流れを生む新しい消費行動だ。
友人が薦めた商品、店舗をFacebook上で見て、実際に自分でも購入、利用する人が増えている。マス広告よりも、身近な友人のお薦めのほうが信頼できる。平均して1人が130~150人の友達をFacebook上に持っている。「いいね!」の共感を得れば、とてつもない共感の輪が広がる。
「ソーシャルグラフ」に加えて、注目すべきFacebookのサービスは、「ライフログ」だ。Facebook上では、利用者の実名、性別、年齢、居住地に加え、「人生」までも記録され、共有される。
11年12月に始まったFacebookのプロフィールページの新しいデザイン「タイムライン」は、年表形式で利用者のすべての事柄を表示し、人生を語る。生まれた日に始まり、どの学校に入り、最近どんな生活をしているかが一目で把握できる。単なるプロフィールではなく、誕生してから、現在までの「自分史」と言われる。
利用者は、日々の生活の投稿や写真、読み終わった本などの身近な体験に加えて、結婚、出産、子育て、進学、就職などの人生のイベントも記録する。
こうしたタイムラインを使って、企業はリアルの売り上げに利用者を誘う。まさにO2Oビジネスだ。