女性部下がイキイキ働く「上司力」の秘密

清水建設もイクボス育成に乗り出した

建設現場に女性技術者が1人いるだけで雰囲気は変わる。近隣の人たちもヘルメットをかぶり孤軍奮闘している女性技術者には親近感をもち、話してかけてくる人も少なくないようだ。真先氏が部下育成で心がけたのが「言葉で説明する」、そして「褒める」ことだ。

清水建設では、初めて女性部下をもつ男性上司に研修を行っている。その研修で“女性には言葉できちんと説明することが大切で、その仕事ぶりを具体的な言葉で褒められるとやりがいを感じて力を発揮する”という指導をしているが、真先氏も現場で実践している。特に意識したのが、部下に小さな成功体験を繰り返させることだ。

「最初から仕事のやり方を指示するのではなく、まず自分でその方法を考えさせます。そしてとりあえず好きにやらせてみる。小さな結果を残せれば本人の自信につながります」

しかし、部下に成功体験を積ませるような仕事というのは、言うのは簡単だが実際には難しい。本人のレベルより高すぎる仕事は心が折れてしまうリスクもあるし、簡単すぎる仕事では達成感を味わうことができない。真先氏も過去に部下の能力以上の仕事を与えてしまい、育成が思うようにいかなかった苦い経験もしている。さまざまな経験を積んだ今、部下の資質を見極めたうえで適切な仕事の割り振りができるようになった。

「今でも仕事の与え方は難しいと感じていますが、まず部下をよく見て、本人がどこまでできるのかというのを把握したうえで、少しハードルの高い仕事を与えるようにしています。自分でやったほうが早いような仕事を部下に任せるのは葛藤もありますが、小さな成功体験を繰り返させる工夫は重要だと考えています」

女性社員の提案を生かし時短を推進

同社のほかの現場では、女性部下とのコミュニケーションを活性化する目的でティータイムを設けているケースもあるという。お菓子の話題で盛り上がりながら、部下とのコミュニケーションを図っている男性上司もいるそうだが、このような工夫も意欲を引き出す効果が期待できそうだ。

現在、真先氏の現場では「会議時間の制限」「業務の見える化」「情報共有化」などで時短を進めている、このような取り組みに大きな貢献をしたのが先の女性部下だった。

それまでの現場は1人の社員が責任をもって担当区をみる担当制だったが、彼女は複数人で担当する働き方を提案し、現場の時短を実現した。
この方法だと日中のすき間時間に事務所での作業が可能となるだけでなく、休暇も取りやすくなる。実際に真先氏の現場では残業時間が減少している。さらに業務、情報の共有化によるミスの軽減や質の向上が図れるという効果も生まれている。

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