“実家じまい”で急増!《人形供養祭》ずらり3000体 その全貌と、大切な人形を手放す人々の思いとは?

誕生を祝って買ってもらったひな人形や五月人形、小さい頃からかわいがっていたぬいぐるみなど、各家庭にひとつはあるだろう、思いの詰まった人形たち。しかし、役割を終えた人形に対して「処分の仕方がわからない」「ゴミとして捨てられない」という声は多い。
BANDAI SPIRITSが2024年に行った「大人のぬいぐるみユーザー実態調査」によれば、今後利用したいサービスについて、「ぬいぐるみ供養」が4位に入っており、手放し方に関心が高いことがうかがえる。
人形供養を行う神社仏閣は全国各地にあるが、神奈川県平塚市にある「人形供養専門店 花月堂」は民間企業として各家庭の人形やぬいぐるみを引き取り、年に10回ほど提携する寺院で人形供養祭を行っている。そこにはどんな人形が集まり、どう供養されているのか。6月20日に行われた供養祭を取材すると、そこには圧巻の光景が広がっていた。
段ボール170箱ぶん! 膨大な量の人形がずらり
供養祭の会場は、平塚市にある日蓮宗・要法寺の敷地内に立つ要法寺会館。普段は檀家の通夜や葬儀が行われる施設だ。一歩入ると、20畳くらいの祭壇スペースにひな人形、五月人形をはじめとする日本人形やフランス人形などが隙間なく整列して並べられている。
後方スペースに数十箱ある段ボールには、S、M、Lとサイズ別にきれいに分けられたぬいぐるみがずらり。おびただしい人形の数に圧倒されるが、不思議と怖いという感覚はなく、どこか神聖で荘厳な雰囲気を感じる。

「今回の供養祭で供養されるお人形は約3000体あります。段ボール170箱ぶんで、うちの倉庫から2トントラックで2回に分けて運搬しました」と話すのは、花月堂を運営する有限会社ビットシステムの代表取締役、石川正行さん。
通常の供養祭は2500体くらいだが、今回は都合により開催日が2週間延期になったため、そのぶん増えて過去最高の数となったという。スタッフ6人がかりで、朝9時から4時間かけて並べられた。
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