【産業天気図・ビール/飲料】ビールは新商品競争が過熱、飲料はシェア争いへ突入

07年度もビール業界は前半、後半とも「曇り」。今年は空前の新商品ラッシュといわれているが、1~5月時点のビール系総市場(ビール、発泡酒、第3のビール)は前年比1.1%減と振るわない。いくら新商品というカンフル剤を使っても、総市場縮小に歯止めがきかない厳しい状況だ。特に、飲食店向けの業務用ビールの苦戦が著しい。アサヒビール<2502.東証>は「スーパードライ」発売20周年キャンペーンを展開しているが、ビールのみの1~5月販売数量は2.3%減。発泡酒と第3のビールの好調で補い、プラスを維持しているものの会社計画は下回る可能性が高い。一方、キリンビール<2503.東証>は積極的な新製品投入でシェアを拡大中。ビール新製品「ザ・ゴールド」は年間計画800万箱は達成する可能性が高い。5月には第3のビールの新製品「良質素材」を投入し、プレミアムビール「ニッポンプレミアム」の発売も控えている。既存ブランドとの需要食い合いが懸念材料だが、今期に限っては新製品効果で好調を維持できそうだ。
 また、サッポロビール<2501.東証>はプレミアムビール「エビスビール」が伸びているが、発泡酒や第3のビールが苦戦ぎみ。新製品攻勢でシェア拡大を模索するも、広告販促費が利益を圧迫する可能性が高い。サントリーではプレミアムビール「プレミアムモルツ」の拡販に全力投球中。ただし、キリンやアサヒのシェア争いに押され、ビール系総販売数量は伸び悩んでいる状況だ。どこかのメーカーが浮かべば、他が沈む。この構造は変わらない。
 一方、飲料業界は「曇り時々晴れ」となりそう。総市場が1~2%増と微増で推移すると見られる中、2年前の「緑茶戦争」のような大型材料も不在。さらに、トップ3メーカーのコカ・コーラグループとサントリー、キリンビバレッジが未上場のため市場予測は難しい。いずれのメーカーにも共通することは、定番商品の数量シェア拡大を志向する一方で、高付加価値かつ高単価商品の発売に力を入れている点だ。
 トップ3メーカーに加えて、伊藤園<2593.東証>やアサヒ飲料<2598.東証>も量販店でのシェア拡大を強化しており、2リットル大型PET容器の安売り競争も激化することが予想される。一方で、サントリー「黒烏龍茶」を筆頭に、コンビニで定価販売できる高付加価値商品の開発も過熱している。コカ・コーラや伊藤園が参入したチルド強化策で数量シェア拡大を模索している状況だ。
 ただし、重要な特殊要因を見落としてはいけない。今年の夏は猛暑になると予想されている。「水商売」とあって、気温次第では業界全体が大いに潤う可能性もある。
【前田佳子記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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