これは、プレゼンテーションスキルの中で「ジグザグ法」と呼ばれるアイコンタクトの手法です。このように遠くに視線を振るのは2つの理由があります。
1つは意外性。聴衆をビックリさせようというねらいです。通常、真ん中や前列の聴衆は、話し手が自分のほうを見ることを予測し、聞く構えをしてくれます。一方、左右の奥の聴衆は「こちらを見ることはないだろう」と考えてリラックス状態。「お手並み拝見」といった余裕の構えです。
その状態で急に視線が来ると驚きます。
すると、その位置から最も遠い②にいる聴衆は油断します。次にそこへ視線を持っていけば、またビックリ。①②③の次は、反対側の奥から斜め、斜めと進めていきます。
これを繰り返しているうちに、聴衆は「いつ見られるかわからない」という感じになっていきます。そうなれば、場の主導権は話し手のもの。最初、話し手は「見られる人」。でも、この方法を続けていると、話し手が「見る人」、聴衆は「見られる人」になり、余裕を持って話せるようになります。
もう1つの理由は、話の中に適度な「間(ま)」がとれるということです。
ジグザグ法の手順
ジグザグ法は次のような手順で進めます。掲載するサンプルは、私がいつもセミナーのはじめにやっている講師自己紹介です。
毎回、「おはようございます」「講師の濱田と申します」「千葉県の市川市から来ました」と始めます。これを例に説明します。
手順2:1人め「講師の濱田と申します」(①の人にだけ話す)
手順3:2人め「千葉県の市川市から来ました」(②の人にだけ話す)
はじめの手順1の挨拶は、全員に向けて行います。視線は中央の奥のほうへ向けるとよいでしょう。
挨拶が終わったら、①の人に向けて体を回します。このとき、自分の胸が①の人にしっかりと向き、完璧に正対するようにします。上体をねじっただけでは真っすぐに向けないこともありますので、その場合は足も動かします。
そして、①の人に「これからあなたに話します」と目でサインを送り、アイコンタクトが成立してから話し始めます。「講師の濱田と申します」というセリフを完全に言い切った後も1秒は見続けて、1人めが終了です。
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