韓国大慌て、「まさかTPPが合意するとは!」 露骨な中国傾斜のツケ、貿易立国の危機感
「親中路線のツケ」。TPP妥結直後に韓国紙に躍った見出しだ。TPPの主役は日本と米国。韓国にとって共に主要貿易国ながら、「日米と米韓、それぞれの間の親密度に差を感じたのではないか」と奥田教授は言う。
現在の朴槿恵(パククネ)政権は、2013年の発足以降、外交で点数を稼ごうとしてきた。他国で日本の悪口を言いふらし、“告げ口外交”と称された意固地なまでの反日政策もその一つだ。
今や貿易額で3割近い比重を占めるようになった、中国への傾倒ぶりも目立っていた。また、中国の習近平主席と朴大統領の個人的な親密さも話題になるほど、中韓関係は緊密になった。
「通商問題、北朝鮮との南北問題を考えると、中国との一定の親密さは必要」(韓国・外交省関係者)という指摘は依然として根強い。だが、先の韓国紙のような反応が出るほど、「中国への傾斜が行き過ぎとの声も高まり、日本が参加しているTPPに加わるべきという声が上がっている」(韓国・全国経済人連合会関係者)。
中国傾斜がTPP参加の障害に
世界の貿易政策の流れも、韓国がFTA政策を強力に推し進めた2000年代後半から、大きく変化している。たとえば、メーカーのサプライチェーンは多くの国にまたがるようになった。こうなると、韓国が個別に締結してきたFTAの域内を超えて、輸出入が行われるケースが増えてくる。関税優遇のため、一定の割合で製品を現地で生産する規則を定めたとしても、その効果は限定的となる。
各国、各地域と個別に手を結んできた韓国政府のやり方は、すでに時代遅れだ。環太平洋地域のさまざまな国を含むTPPのような、「メガFTA」に参加するうえで、むしろ障害になっている。
朴大統領は訪米して10月16日にオバマ大統領と首脳会談を実施した。しかし、これまでの露骨な中国傾斜を含め、米国政府内では韓国への不信感が漂う。貿易立国は瀬戸際に立たされている。
(「週刊東洋経済」2015年10月24日号<10月19日発売>「核心リポート05」を転載)
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