プロンプト不要で誰もが使えるAIを目指すアップル。文章要約や校正はメニュー選択だけ。ChatGPTなどとは根本的に異なるアプローチに迫る
この視点から見ても、昨今の「アップルはAIで出遅れている」とする報道が、いかに見当違いであるかがわかるだろう。
Appleが守り抜く「丁寧さ」という強み
ここまで紹介してきたApple Intelligenceの機能は、すでに搭載されているものが中心だった。 だがWWDC25では、この秋リリースされる新OSで新たに追加されるAI機能群が多数発表された。いずれも、現実世界との接点を強化するものばかりである。

中でも特に注目すべきは「ライブ翻訳」機能だろう。 これは、言語の異なる相手とメッセージのやり取りをする際、自分の言語で入力した文章を自動翻訳して相手に送り、相手の返信も自動翻訳して受け取るという双方向の翻訳機能である。 対応言語は、日本語・英語(米・英)・フランス語・ドイツ語・イタリア語・韓国語・ブラジルポルトガル語・スペイン語(スペイン)・中国語(簡体字)と多岐にわたる。
残念ながら、最初のうちは日本語での音声通話中のリアルタイム翻訳には対応しないが、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語などでは、音声/ビデオ通話時のリアルタイム通訳にも対応する。
また、これまでカメラを通じて動植物や商品などを認識していた「ビジュアルインテリジェンス」も機能を拡張。 新たに「スクリーンショット版」の認識機能が搭載される。 たとえばWebページの写真をスクショで保存すると、そこに写っている家具やファッションアイテムがどのブランドの製品かを自動で判別してくれる。

特に有用そうなのがソーシャルメディアなどで見かけた音楽コンサートなどの情報を、認識して、自動的にカレンダーに追加してくれる機能だろう。
そのほかにも丁寧に作り込まれた「こんなところまで」と驚かされる細かな気遣いのインテリジェンス機能が多数追加される予定だ。
本稿では、世間一般が感じているアップルのAI開発に対する漠然とした不安は実はまったく的外れであることを伝えたかった。
もっともアップルでは、そうした的外れな批判に動じてペースや品質を崩すことなく、これまで通りの丁寧さでAI機能の開発を続けており、その姿勢に、筆者はむしろ安心感を覚えている。
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