中国2大動画サイト「優酷網」と「土豆網」が突如合併、小さくない日本のコンテンツホルダーへのインパクト


中国政府はそれまでは著作権無視をよしとはしないものの、「海賊版は被害を受けたコンテンツホルダーが配信者と話し合うように」と他人事のようなスタンスであった。が、北京五輪の開会式では、それまで海賊版コンテンツに無関心だった中国政府が、次から次へと、配信許可を受けていないのに開会式の動画を配信するサイトを訴え始めた。

この頃から特に「コンテンツホルダーは訴えれば動画サイトから賠償金が取れる」とばかりに「中国のコンテンツホルダーが動画サイトを訴える」訴訟のニュースが多くなった。そんなトレンドにもめげず、動画サイトは海賊版コンテンツを立場がまずくなるまで配信し続けたが、同時に一方でコンテンツ配信権をコンテンツホルダーから積極的に買い始め、結果として競争が起きた。

中国のテレビドラマは全十数話で終わる日本のテレビドラマよりもずっと長い。そんな中国のテレビドラマのコンテンツ配信権の額は報じられたものだけでも、5年前では81話10万元、3年前では各話1万元、そして昨年には1年の間に2000万元、3000万元、7000万元、そして億超えと、コンテンツ配信権の価格は天井知らずで上がっていった。
 
 あくまでこれは注目のコンテンツだが、そうでないコンテンツにおいても正規版コンテンツ配信権に数百万元のコストが当たり前となった。それは同時に、勝手に海賊版サイトが配信したことによる損害賠償請求額も万から億の単位まで上がっていたことを意味する。

値段が吊り上がっていった結果、体力のない動画共有サイトから順に人気コンテンツが買えなくなり、また海賊版を配信すれば損害賠償を訴えられ、競争から脱落していった。
 
 一方韓流ドラマの海賊版に対抗すべく、韓国のテレビ局が動画サイトと提携を結び、日本のテレビアニメでも、昨年12月に土豆網がテレビ東京のテレビアニメを正規に配信するようになった。

数多くのサイトが脱落して、力のある動画サイトの数サイトだけが残り、かつ最もシェアの高い2サイトが合併した。「版権買い取り競争の終焉」と報じる中国のメディアもある。まだ3位以下ながら虎視眈々とシェアアップを狙う動画配信サイトもあるので、完全に終焉するとは思えないが、「優酷土豆」の圧倒的シェアが続くしばらくの間は、版権買い取り競争は落ち着くのではないかとは思っている。
 
 「優酷」「土豆」間で競争が起きていれば、日本のコンテンツにしても「客が呼べるコンテンツ」だとして独占配信権を求め、より高いおカネで買ってくもらえるはずだった。しかし競争がなくなることで、これからは足元を見られるかもしれない。今後の中国の版権市場・動画版権相場がどうなるか、中国国内コンテンツの動向を見るだけでも、日本のコンテンツ購入の未来が見えてくる。関心がある人は注視していこう。

最後に余談となるが、中国においてコンテンツを独占配信する契約は特に動画サイトに多い。音楽サイトや小説サイトでは配信権を購入するが、独占権をめぐる配信者同士の競り合いはあまり聞いたことがない。だから音楽や文字コンテンツにおいて、動画と同様の状況が起きるかというと、それはまた違うのではないかと思う。

山谷 剛史 やまや・たけし
中国内陸部在住のIT専門ライター、中国のIT事情を中心に取材・執筆。著書に『新しい中国人 ネットで団結する若者たち』(ソフトバンク新書)

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