日本企業に巣くう「クローニー資本主義」の問題点とは?「身内ノリ」が非合理的な経営戦略を招いている!

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コーポレートガバナンス・コードにおいては、独立社外取締役の果たすべき役割・責務について「会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与する」ことであると規定しています。

その上で、プライム市場上場会社は、資質を十分に備えた独立社外取締役を、少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社では2人)以上選任すべきであり、加えてプライム市場上場会社は、指名委員会・報酬委員会を設置する場合、各委員会の構成員の過半数を独立社外取締役にすることを基本にするとしています。

独立社外取締役の選任が増えた一方で

少なくとも表面的な数値の上では、コーポレートガバナンス・コードを通じた働きかけは一定の効果を実現しているように見えます。たとえば2人以上の独立社外取締役を選任する上場企業の比率を見ると、2014年には旧1部市場の21.5%にとどまっていましたが、2024年には現プライム市場の99.7%となっています。

ほぼ全ての大企業において、形式上は、企業価値向上を真摯に追求するための組織体制が整備されているという建前になっているのです。もちろん、社外取締役が多ければよいというわけでもありません。独立した社外取締役が過半数を占めていないと、結局は数の論理で敗北してしまうのです。

ただ、経営陣の不祥事を含む緊急事態の際には、経営側抜きで社外取締役だけでさまざまな決定をする必要があり、そういう局面でこそ独立社外取締役の真の力が試されます。先に触れたセブン&アイ・ホールディングスに対する買収提案への特別委員会の対応が、まさにその例として挙げられるでしょう。

また、身内のしがらみを乗り越え、執行部門が中長期的な成長のために合理的で果断な判断を下すサポートをする上で上場各社の社外取締役が本当に役に立っているのかは、疑問が残ります。

社外取締役の顔ぶれを見ると、往々にして彼らは関係会社や取引先、銀行の出身というケースが多いようです。業界のことをよく分かっている人物を適材適所であてがっている、

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