日本企業に巣くう「クローニー資本主義」の問題点とは?「身内ノリ」が非合理的な経営戦略を招いている!
「コングロマリット形態を取っている企業が多角経営の罠から自力で脱却することは不可能なのか」――結局のところ旧態依然としたレジームを打破して改革を進めるためには、外部から優秀な経営のプロが救世主のようにやって来るのを待つしかないのでしょうか。
経営者が合理的な判断をできない場合
日立の川村隆氏のように、生え抜きの人材が抜本的な改革を主導する例がないわけではありません。一方で、全てのプロパーの経営者に、必ずしも果敢に舵を切る判断力と行動力が備わっているわけではないこともまた事実です。
私のように金融機関のアナリストという立場であれば経営者と直接膝詰めで話し合う機会もありますが、多くの投資家にとって経営者の素質を直接実地で確かめるチャンスは限られています。
投資先の企業で改革が着実に進められるかどうか、経営者にそのための能力が備わっているかを判断するには相当の情報量が必要であり、データの総量が不足していれば、企業選定は単なるギャンブルのような様相を呈してしまいます。それは株式市場の健全な発展とは相容れないものです。
そこで、仮に経営者にカリスマ性が乏しい場合であっても取締役会が企業価値向上を優先した経営判断を進めるように促す仕組み作りが、官民で進められてきました。コーポレートガバナンス・コードは、その仕組み作りの一環として整備された側面があります。
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