「子どもと妊婦を守る法案」を全野党が結束して提出、政府に原発事故による健康被害の防止努力求める
「放射能に脅かされている子どもや妊婦の一時避難を支援する」「被ばくのおそれがある子どもや妊婦に対して医療費負担を減免する」。今までにない踏み込んだ支援策を盛り込んだ「原子力事故から子どもと妊婦を守る法案」が3月14日、全野党7党による共同提案で参議院に提出された。
法案のとりまとめで中心的な役割を担った森まさこ参議院議員(自民党)は記者会見で、「子どもや妊婦の健康被害を未然に防ぐことを基本理念に据えた。民主党にもぜひ賛同していただき、今国会での成立を実現させたい」と言及。
社民党と法案策定を進めてきた後、自民党などとの共同提案に合意したみんなの党の川田龍平参議院議員は、「子どもだけでなく妊婦も対象としたうえで、基本理念の中で(放射能を体内に取り込む)『内部被ばく』(による子どもの健康被害の未然防止)を明示した。多くの母親たちが待ち望んだ法案だ」と語った。
法案はこれまでなかった政策を含むだけに、放射能問題に苦しむ親や子どもを勇気づけることは間違いない。川田議員は「法案提出をきっかけに、(個別施策実現へ)勉強会を重ねたい」とも述べた。ただ、野党が多数を占める参議院通過の可能性は高いものの、衆議院での法案可決は楽観できない。のみならず、法案成立後も個別施策の実現には茨の道が続くことが予想される。
まず第一に、政権を握る民主党が法案に賛同するかどうかが焦点だ。
「政府民主党からは法案そのものを提出してほしくないとの意思表示が内々にあった」と森議員が明かしたように、政府民主党は財政面での踏み込んだ支援につながる同法案への警戒心を強めている模様だ。