「東京メトロが運営」ロンドン地下鉄に起こる変化 イギリス鉄道の転換点?「再国営化」も動き出す
また、エリザベス線でMTRCは、開業準備から開通につながる混乱期を支え、安定的な運行品質を確保してきた。建設の遅延や政治的調整に翻弄され、本来の開通予定より4年も遅れた「クロスレール計画」において、現場を粘り強く支えたのはMTRCの現地チームだったことは、多くの市民が知るところだ。

東京メトロの力を発揮できるか
それにもかかわらず、一部では「MTRCは外された」「失敗だった」といった言説も見られた。だがそれは違う。今回の移行は契約期間の満了によるもので、不手際による撤退ではない。MTRCは契約通りにその役割を果たしたのである。
香港で長期間生活していた筆者自身も、MTRCの現場力を目の当たりにしてきた。かつて植民地だった地域の鉄道が、宗主国首都の新たな看板となる鉄道路線の管理に当たることを、むしろ誇らしいと感じたくらいだ。

イギリス人の間では日本の鉄道の正確性は有名で、東京メトロの参画により「地下鉄や郊外電車がきちんと動くようになれば」という期待の声をあちこちで聞く。MTRCがロンドンの鉄道運営で定時性の高さなど高いオペレーションの力を示したことを考えると、同様に東京メトロの優れた運行管理力が発揮されることを期待したい。
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