「東京メトロが運営」ロンドン地下鉄に起こる変化 イギリス鉄道の転換点?「再国営化」も動き出す

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では、今回東京メトロが参画するGTS社が運行を引き継ぐ以前に、エリザベス線を運営していたのはどんな組織だったのか。

これまで同線の運行を担っていたのは、香港のMTRコーポレーション(MTRC、香港鉄路)だった。同社は地元香港の地下鉄や、以前は九廣鉄道(KCR)と呼ばれていた近郊鉄道線を運営するほか、中国本土とつながる高速鉄道の香港側オペレーターでもある。香港だけでなく、中国の各都市で地下鉄などの運営に携わっているほか、イギリスでも多くの路線の運行を担い、着実な成果を上げてきた。

elizabeth line
エリザベス線の列車(筆者撮影)
エリザベス線路線図
【写真】エリザベス線地下駅の建設中の様子や車両基地、保線用車両

香港の鉄道会社が残した業績

その一例として、ロンドンの近郊路線網であるロンドン・オーバーグラウンドがある。MTRCは2007年から2016年まで同路線網の運行に参画していた。

2007年にロンドン・オーバーグラウンドとして整備される前、この路線網の多くは貨物列車が主体だったうえ、老朽化も著しかった。MTRCはこのロンドン・オーバーグラウンドを安定性のある都市鉄道へと改善することに大きく貢献、地下鉄ネットワークではカバーしきれない郊外ルートへの旅客の流れを構築した。

香港でMTRCは定時運行率99%を誇るが、ロンドン・オーバーグラウンドは定時運行率96%、エリザベス線も95.8%を達成した。後者の場合、同期間のロンドンの鉄道の平均は89.6%で、比較するとMTRCによるオペレーションの優秀さがうかがえる。

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