「東京メトロが運営」ロンドン地下鉄に起こる変化 イギリス鉄道の転換点?「再国営化」も動き出す

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2017年には、JR東日本と三井物産、オランダの交通事業者アベリオ(Abellio)によるコンソーシアム「ウエスト・ミッドランズ・トレインズ(WMT)」がイングランド中部の路線網の運行権を獲得、列車運行に参入している。ただ、実際には運行運営に直接関わる、というよりは「将来的な運行関与の可能性を探る情報収集的な取り組み」という意味合いが強かったといえる。

その後、コロナ禍の影響でイギリスの鉄道事業の管理方法に変化が起きたこともあり、JR東日本は2021年に出資を解消して撤退した。とはいえこの経験は、日本の鉄道事業者が海外の運行体制にどのように関わっていけるかを模索するうえで、ひとつの重要な試金石だったであろう。

west midlands railway class 172
WMTが運行するウエスト・ミッドランズ・レールウェイの列車(写真:West Midlands Railway)

日本の鉄道「海外展開」の歴史

日本企業が海外にて鉄道事業に関わった歴史を改めて追ってみると、そのほとんどは建設・技術供与を手がけた例である。鉄道事業者が運営コンソーシアムに入る例は、前述のSuperViaやWMT、今回の東京メトロなどわずかだ。

日本の鉄道が長らくインフラ・車両・運行のすべてを一体で抱える「垂直統合型」であったことが、欧州などで一般的な、インフラと運行が分離された「上下分離方式」での運行事業参入への適応を難しくする要因となってきたといえる。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事