山手線「パンタグラフ大量破損」何が起きたのか 車掌が異変に気付き発見、ワンマンでも大丈夫?

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ただ、運行本数が多く路線網が広域におよぶとはいえ、JR東日本は架線関連のトラブルがやや目立つようだ。

最近では、今年3月に高崎線の高崎―倉賀野間で架線の断線が見つかり列車が一時運休。2024年8月には中央・総武線各駅停車の車両と東京メトロ東西線に乗り入れた車両でパンタグラフの破損が見つかるトラブルがあった。車両基地内の架線が原因とみられている。架線そのものではないが、2023年8月には東海道線の大船駅で架線を支える電化柱が傾き、電車と衝突する事故もあった。

新幹線でも、2024年1月に東北新幹線の上野―大宮間で、装置の故障により垂れ下がった架線に列車が接触、東北・上越・北陸新幹線の一部区間が終日不通となった。同年11月には東北新幹線で「はやぶさ」が走行中にパンタグラフ破損により緊急停止するトラブルもあった。

「人の目」減る中で異常どう発見?

今回の山手線の架線断線は、車掌が異変に気付いたことでパンタグラフの損傷の発見につながり、列車が立ち往生するなどのトラブルはなかった。小さな異常も見逃さないプロの目が問題の拡大を防いだといえる。

E235系
山手線のE235系電車(撮影:風間仁一郎)
【写真をもっと見る】架線トラブルで損傷した山手線のパンタグラフや破損した部分、断線した架線設備など

一方で、首都圏でも列車のワンマン化が進みつつある。JR東日本では今年3月から常磐線各駅停車と南武線でワンマン運転を開始した。2030年頃までに山手線や京浜東北線などでも実施する計画だ。

ワンマン運転はすでに多くの路線で実績があり、都市部でも私鉄や地下鉄が先行して導入している。JRも導入にあたってはホームドアの完備をはじめ、さまざまな安全対策を講じている。ただ、「人の目」が減ることは確かだ。

鉄道インフラのトラブルは今回のような不具合だけでなく、近年増加する自然災害や異常気象によるリスクもある。人口減少が進む中、鉄道のワンマン化や将来的な自動運転・無人化などは大都市圏でも不可避といえる。熟練の「人の目」が減る中で、異常をいかに早期発見して影響拡大を食い止められるかは重要な課題だろう。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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