ベール脱いだ、三菱重工「新交通システム」実力は? 架線レスでコスト大幅減、導入できるのはどこか

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また、従来の同社のAGTは最小曲線半径が30mであり、一般的な鉄道と比べればかなりの急カーブだが、インフラのスリム化により22mまでさらなる小型化が可能となった。通常、AGTは道路の上などに建設されることが多いため、道路のカーブに合わせて軌道もカーブする。つまり、よりきついカーブにも対応できるようになるということだ。

完成までに4年かかったという。従来のAGTと比べ多くのメリットを持つことで「電力事情が悪い国、あるいは景観重視の観点からサイドガイドは景観の妨げになると考えている顧客に訴求できる」と田代氏が話す。また、「すでに引き合いがあり、早ければ数年後には提供したい」という。

国内で導入に適した路線はある?

三菱重工が正式な営業活動を行うのは5月19日からだが、昨年9月にドイツ・ベルリンで開催された鉄道見本市「イノトランス」でパネルを展示し、興味を示す顧客に担当者が熱心に説明していた。その様子は2024年10月21日付記事(『三菱重工、知られざる「鉄道メーカー」の世界戦略』)で詳述している。

なお、イノトランスには三菱電機も出展し、自社ブースで次世代蓄電モジュールを売り込んでいた(2024年10月14日付記事『三菱電機「空調装置」、ドイツの鉄道なぜ大量採用?』)。

イノトランス 三菱重工ブース
2024年の国際鉄道見本市「イノトランス」の三菱重工ブース(記者撮影)

藤岡氏の言う「引き合い」とは海外のプロジェクトを指しているようだが、国内でAGTの導入が適しているような案件はないのだろうか。都市や空港でAGTが想定されているような建設計画はないが、視野を広げると1つある。山梨県が構想する富士山登山鉄道構想である。

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