ベール脱いだ、三菱重工「新交通システム」実力は? 架線レスでコスト大幅減、導入できるのはどこか
一般的な鉄道車両よりも小型で軽量の車両を用いるため軌道の建設費を抑えることができ、ゴムタイヤを使用するため鉄輪と比べ急勾配でも走行できる。鉄道の勾配は最大でも2度くらいだが、AGTは10度の勾配でも走行可能である。
しかも、ゴムタイヤは鉄輪よりも騒音レベルが小さく、住宅街でも走行できるという点も長所に加えられる。こうした利点を生かし、AGTは世界各国の主要都市における公共交通手段のほか、空港のターミナル間における旅客の移動手段としても使われている。
ゆりかもめもニューシャトルも三菱重工が製造したAGT車両だ。海外ではシンガポール、マカオなど世界の主要都市で同社製のAGTが導入されているほか、ドバイ、香港、マイアミなど世界の主要空港でも続々と採用されている。

三菱重工はAGT世界シェア3割
シーメンス、アルストムといった国際的な鉄道大手メーカー、あるいは躍進著しい中国メーカーを含む多くのメーカーがAGTの分野に参入しているが、その中でも三菱重工は日本国内でシェア5割と断トツ、世界でもシェア3割強を握る堂々たるトップメーカーである。
かつて蒸気機関車やディーゼル機関車を製造していた時代もあったが、1970〜80年代に鉄道からAGTに軸足を移し、モビリティ分野における経営資源をAGTに注いだ。この決断が今日のAGT分野における隆盛につながった。
三菱重工によれば、2022年におけるAGTの世界市場規模は1500億円。その後も年平均5.3%ずつ拡大し、2030年には2250億円になると予測している。およそ30兆円におよぶ世界の鉄道関連の市場規模と比べればごくわずかだが、そのニッチな市場で三菱重工は大きな存在感を誇る。
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