ベール脱いだ、三菱重工「新交通システム」実力は? 架線レスでコスト大幅減、導入できるのはどこか

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これは、富士スバルライン上に軌道を建設し、大型の車両が登山客や観光客を5合目まで運ぶ計画。2024年11月18日付記事(『「富士山登山鉄道」、山梨県がLRTに代わる新案構想』)によれば、県は当初想定していたLRT(軽量軌道交通)ではなく、ART(Autonomous Rail Rapid Transit)という新たな方式を検討している。

ARTはレールの代わりに道路に磁気マーカーを埋め込んで、ゴムタイヤの車両がマーカーを検知しながら自動走行するという仕組み。中国中車(CRRC)がすでに実用化している。プリズモでもセンターレールの代わりにマーカーに沿って走る方法も検討しているという。

CRRC ART イノトランス
国際鉄道見本市「イノトランス」で中国中車(CRRC)グループが展示した、ゴムタイヤで道路上を走る新たな交通モード「ART」(記者撮影)
【写真をもっと見る】一般の鉄道より勾配に強いとされるAGT。テストコースの急坂を走る「プリズモ」の車両や充電の様子など

富士スバルラインを走れる?

ということは、富士スバルラインにプリズモを走らせることは可能ではないか。藤岡氏に尋ねてみたら「うーん」と考え込んでしまった。スバルラインは急勾配区間が長く続きブレーキが耐えられるかという問題がある。また、雪や低温といった過酷な自然環境という問題もある。きちんと検証しないと回答はできないだろう。

ただ、「旅客輸送だけでなくバゲッジハンドリング(手荷物輸送)にも使える」と藤岡氏は話し、さらに、「この場で話すことは控えたいが、空港や都市以外での運行の可能性はある」。つまり、幅広い用途を想定していることは間違いない。

プリズモは車両単体ではなく軌道の建設も含めたトータルなシステムだけに、既存路線に車両だけ置き換えるというわけにはいかない。しかし、既存の鉄道では難しそうな新規路線を検討する際には、プリズモが有力候補の1つとして挙げられることは間違いないだろう。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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