デルがEMCをIT業界最大の約8兆円で買収へ  ストレージ取り込みクラウド事業を強化

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 10月12日、米パソコン大手、デルがストレージメーカーのEMCを670億ドルで買収することで合意。(2015年 ロイター/Brendan McDermid)

[12日 ロイター] - 米パソコン大手、デル[DI.UL]が12日、ストレージ(外部記憶装置)メーカーのEMC<EMC.N>を670億ドルで買収することで合意したと明らかにした。ハイテク業界で最大の買収案件となる。

デルは、パソコン(PC)市場の低迷に直面していたが、今回の買収でクラウド関連事業を強化する。

9日終値で算出したEMCの買収提案額は1株当たり33.15ドル。デルが現金で1株当たり24.05ドルを支払うほか、EMC株主に対し、EMC傘下の仮想化技術ソフトウエアメーカー、VMウェア株<VMW.N>に連動した特別株を割り当てる。

EMCの取締役会が買収案を承認しており、株主にも受け入れるよう促す。

合意には、他の買い手候補が対抗案を提示できる60日間の「ゴーショップ」条項を盛り込んだ。

関係筋によると、理論上はEMCの買い手候補としてIBM <IBM.N>、シスコシステムズ<CSCO.O>、ヒューレット・パッカード(HP)<HPQ.N>などが挙げられるものの、これらの企業がデルに対抗して買収案を提示する可能性は低いとみられている。

EMCに2.2%出資する、ヘッジファンドのエリオット・マネジメントは今回の合意を歓迎し、EMC株主に最善の結果と評価した。

株式市場の反応は鈍く、EMCは一時2.5%超上昇したが1.76%高で引けた。VMウェアは8.11%安。

VMウェアは上場を維持する。ただ、FBRキャピタル・マーケッツのアナリスト、ダニエル・アイブス氏は、デル傘下での今後の見通しが不透明なことから、VMウェアから有能な人材が流出し、同社の業績悪化につながる可能性を株主が懸念していると指摘した。

関係筋によると、デルは2014年10月にEMCに接触し、創業者のマイケル・デル氏が1月にダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)の年次総会でEMCのジョー・トゥッチ最高経営責任者(CEO)に面会。両社間の協議はここ2カ月間で加速したという。

買収手続きは2016年5月から10月の間に完了する予定。

トゥッチCEOはブログへの投稿で、EMCで築いてきた事業を非常に誇りに思うと同時に、変化や規模の必要であることを認識しているとした。

*内容を追加します。

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