セルジオ越後、日本代表の課題をなで斬り! シリア戦でチーム力の劣化が露呈した

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なかには「厳しいアウェーゲーム」と煽っていたメディアもありましたけど、実際には中立地のオマーンでのゲームで、スタンドには日本人のファン、サポーターが多く、アウェーの雰囲気は微塵も感じられませんでした。

なぜ、「2次予選で日本が首位に立つのは当たり前のことで、首位を譲っていたのが恥ずかしいことなんだ」としっかりと言えないのか。あるいは、「今の日本はシリアに首位を譲るぐらいのレベルでしかない」とはっきりと言えないのか。おそらくメディアは最終予選まで、どうやって盛り上げるか、そのことで頭がいっぱいなんでしょう。このままでは「強い、強い」とウソの報道で国民を騙し続け、ブラジル・ワールドカップで惨敗したザックジャパンの二の舞いになってしまうんじゃないかと心配です。

イラン戦をどう位置づけるべきか

──13日にはイランのテヘランでイランとの親善試合が行なわれます。イランはFIFAランキングではアジア最高位となる39位。今年3月にハリルホジッチ体制が発足して以来、初めて骨のある相手と対戦することになります。

イランがどんなメンバーで来るのか分かりませんが、約10万人収容のアザディ・スタジアムが満員になることが予想されます。ホームの大観衆の前でみっともないゲームはできないはずですから、イランも本気で来るでしょう。

親善試合だから新しい選手を起用すべき、という声もあるようですが、僕はベストメンバーで臨むべきだと思っています。イランとは最終予選で同じグループに入る可能性だって十分あります。完全アウェーの中で選手もスタッフも全力で戦い、現在のチーム力がどのレベルにあるのか確認してほしい。

もちろん、南野(拓実)をはじめ、新しいメンバーを先発させてもいいんです。でも、それなら活躍した場合、次の試合からはレギュラーを入れ替え、その選手を起用してほしい。せっかくのイラン戦を、単なる新戦力を試す場にだけはしてほしくないですね。

飯尾 篤史 スポーツライター

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いいお あつし / Atsushi Iio

東京都出身。明治大学卒業後、サッカー専門誌の編集記者を経て2012年からフリーランスに転身、スポーツライターとして活躍中。『Number』『サッカーダイジェスト』『サッカーマガジン』などの各誌に執筆。著書に『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成に岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(ベスト新書)などがある。

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